危機のJDI、見えぬ「スポンサー探し」の終着点 総会前日の出資者離脱でも資金繰りは万全か
土壇場での出資取りやめが開示されたのは、26日午後5時半に設定されていたインターネットによる議決権行使の締め切りがとうに過ぎた午後9時前のこと。同日夜の記者会見で、10月から新社長に就任する菊岡稔氏(26日時点で常務執行役員CFO)は、「(ハーベストが離脱しても)当面の資金繰りは万全」「足元は盤石」などと繰り返し強調。さらに「10~11月には500億円を確保できる」とした。
【2019年9月28日9時25分追記】初出時の記事における締め切り時間に関する記述を表記のように修正いたします。
会見には、Suwaの代表として、「たまたま東京にいた」(菊岡氏)というCOOの許庭禎氏も出席し、「技術のある会社が勝つ。今後ターンアラウンドできることを信じて、支援を継続していきたい」とJDIへの出資に前向きであることを強調した。なお同氏は2018年までJDI台湾子会社の社長を務め、「(辞任してから)数カ月後にリー氏と出会ってSuwaに入った」人物である。
INCJからの短期貸し付けがあれば「大丈夫」
ただ、菊岡氏のいう500億円の調達には不確実性がある。スマートフォン「iPhone」用のパネルをJDIから調達したアメリカのアップルは、従来Suwaに対して予定していた約1億ドル(約107億円)はSuwaを経由せず、直接約2億ドルに倍増させる意向を示しているという。また、500億円のうち50億円は「有力サプライヤー」(菊岡氏)から調達する。
ただ、8月からSuwaに加わり、1.5億~1.8億ドルの出資を約束するオアシスマネージメントカンパニーは、Suwaから台湾、中国の2社が離脱した際に「(前出の)リー氏がSuwaに引っ張ってきた」(関係者)経緯がある。ハーベストと同様、翻意する可能性は否定できない。
一方で、このスキームが実現しなくても、JDIは「(同社の最大株主で、官民ファンドの)INCJからの短期貸し付け400億円があれば、大丈夫なところにかなり近くなる」(菊岡氏)と見る。INCJはこれまで、JDIに累計4600億円ほどの資金支援を行っており、現在でも融資と出資合計で2800億円近い残高がある。
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