「怖いもの知らずの起業」が全然ダメな根本理由

「サードドア」著者、未来の起業家に語る

ここにいる、起業したいと考えているみなさんは、背景もこの先の道もさまざまでしょう。ですが、1つだけ共通するものがあります。それは、大きな恐怖感に必ず直面するということです。私もそうでした。『サードドア』の旅路で、何回も、また何年にもわたる恐怖感にさいなまれるとは、まったく予測していませんでした。

私は幼い頃から恐がりだったので、成功者たちはなぜ恐れを抱かないのか、またどうやって恐れを克服したのかを知りたいと思っていました。ところが私が知ったのは、成功者の誰もが最初から恐怖感を持っていたこと、そしてそれぞれの旅路において、ずっとその恐怖感を抱え続けていたことでした。彼らは、恐れを消したのではなく、勇気を奮い起こしてサードドアを開けたのです。

これは起業する際に非常に大切なことです。恐怖感を持たないというのは、崖から飛び降りてその後はどうなってもいい、というような狂った感覚です。一方で、勇気を持つということは、自分の中の恐怖感をしっかり認め、そのうえで起こりうる結果を分析して行動するということなのです。

恐れは、諦める理由を作り出す

投資の神様として知られるウォーレン・バフェットへの突撃インタビューは、私にとって大変つらい体験でした。長い時間をかけて挑戦したものの思うようにいかず、人生のどん底に陥りました。このときは、親友のコーウィンが落ち込んだ私を支え、殻にこもろうとしていた私を、外の世界へと引っ張り出してくれました。

2人で食料品店の前に腰掛け、サンドイッチを食べていたときのことです。「もうだめだ、僕のミッションは失敗だ」と言う私に、コーウィンは「そんなに自分に厳しくするな」と言い、励ましてくれました。そのとき、奇跡が起こりました。1台の車がやってきて、そこに世界で最も有名なインタビュアーの1人、ラリー・キングが乗っていたのです。

これはもう願ってもない大チャンスです。ですが私は口がカラカラに乾いて、泥沼にはまったような気持ちで固まっていました。あのラリー・キングが、自分の目の前を通って食料品店の中へ入って行くというのに、おじけづいて動けないのです。

「おい、なぜ話しかけないんだ」と言うコーウィンに、私はこう返しました。「彼だって忙しいだろうし、邪魔したら悪いよ」「厚かましい奴にはなりたくないんだ」「もう店の奥まで入っただろうし見つからないかも」などなど。恐れのせいで私たちは、もっともらしく聞こえる論理的な言い訳を作り出してしまうのです。

それでもコーウィンに背中を押され、ついに立ち上がって、ラリー・キングの後を追って食料品店の中へ飛び込みました。でもいくら探しても見つからず、自分で自分を殴りたくなりました。諦めて外へ出たとき、駐車場で彼の姿を見つけました。

そのとき私の中に、怒りやフラストレーションが渦巻いていました。それが一気にほとばしり出て、心の底から声の限りに「ミスター・キーーーング!」と叫びました。私はその場で彼との朝食の約束をとりつけ、朝食のレストランでは彼が私に話かけてくれるまで粘って待って、その後の5年間で50回以上一緒に朝食をとることになりました。そうして、インタビューのコツを学ぶことができたのです。

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