カシオが目指す「Gショック」一本足からの脱却 スポーツや医療など、新たな分野を開拓

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井口氏は「カシオといえばGショックなど物作りのイメージが強くてIT分野に弱いと思われるが、AI開発やIoT分野の研究も行ってきた」と強調したうえで、「これまでは研究ができても、それを活かす術がなかなかなかったが共創することで技術の活用の幅が広がる」(同)と話す。

カシオは新たな市場としてまずAIやIoTを活かしたスポーツや医療にかかわる4つのテーマを策定し、それぞれのテーマでパートナーとなる企業と協力していくと発表。すでにランニングのアシストや医療分野の画像診断、セキュリティ分野の画像認識の3分野で共創パートナーも決まり、残る美容関連分野でも大手化粧品会社との交渉が進んでいる。

アシックスとスポーツ分野で組む

ランニングのアシストではスポーツ用品大手のアシックスとタッグを組む。カシオは筑波大学とともにランニングのフォームをセンサーで解析してきた実績がある。「ランニングフォームの可視化は世界一だと(アシックスに)評価された」(カシオ幹部)と自負するほど。一方で「ランニングフォームを可視化する技術があっても活かす術がわからなかった」(井口氏)。

センサーでランニングフォームを可視化する(写真:カシオ計算機)

カシオとしては現在開発が進んでいるGショックのスマートウォッチ、Gスマートやモーショントラッカーを利用してランナーのフォームを可視化する商品やソフトを展開したい考えだ。そこで解析されたデータをもとにランナーへの指導に対する知見があるアシックスが最適なシューズやトレーニング法を提案することを想定している。

「ランニングで疲労がたまりすぎてケガをするランナーも多い。各ランナーに最適なフォームやシューズの提供、リカバリーの提案などアシックスと協力して一貫したサービスを提供できる」と井口氏は期待する。デバイスの販売からサービスの提供までできるのは自前主義にこだわっていたカシオでは難しかったことだ。

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