あのキャデラックが遂げた圧倒的な進化の神髄 デザインも性能もかつての印象と全然違う
アメリカのセダンはかくも先進的になっていた
米国はSUVとトラックの国、とみられがちかもしれないが、実際はセダンも多く路上を走っている。だからこそ、「キャデラックCT6」のような魅力的なセダンが生まれるのだろう。
プレスティッジセダンというと、ドイツとか日本という印象を持っているひとが多いだろうが、最新のキャデラックは、走りの面でも、装備の面でも、試してみる価値がある出来だ。
2016年に発売されたCT6は、キャデラックのセダンにおけるフラッグシップだ。5メートルを超えるサイズの車体に、3.6リッターエンジンと、オンデマンド型4WDシステムを搭載。さらに、安全装備および運転支援システムも充実と、独・日のお株を奪うようなフル装備である。
2019年6月に、マイナーチェンジが施された新型が日本でも発売された。フロントマスクがより精悍なイメージになるとともに、250kW(340ps)の最高出力と386Nmの最大トルクを持つパワープラントに、新たに10段オートマチック変速機が組み合わされるようになっている。
ドライブ中に前をCT6が走っていたことがある。私のクルマの同乗者が、「あれはなんていうクルマだろう」と言うので、車名を教えたところ、自分の中にあるキャデラックのイメージとまったく合わないと驚いていた。
日本にいるひとの多くが抱くキャデラックへのイメージは、ひょっとしたら大きなテールフィンを生やした1959年のエルドラドだろうか。よくても80年代のフリートウッドのような四角くて長い車体のクルマ、というあたりで先に進んでいないかもしれない。