トヨタ「15代目クラウン」発売1年後の通信簿 販売動向や顧客層はどのように変化したのか
トヨタの旗艦車種である4ドアセダンのクラウンは、2018年6月にフルモデルチェンジをして、15代目となった。
初代は1955年に誕生し、日本の技術だけでつくりあげた本格的4ドアセダンというのが、トヨタの矜持(きょうじ)となっている。ほかの日本の自動車メーカーのクルマは、欧米の技術を導入したり、ノックダウン(部品を輸入して組み立て)生産を行ったりしていた時代であったからだ。
新型クラウンの開発を牽引した主査の秋山晃氏は、「初代クラウンが誕生した創業期の意志を継承し、日本人の頭と腕で、もう一度世界を驚かせたい。そんな気概で開発を進めてきました。デザインや走り、コネクティッド、すべての面でお客様にハッとしていただけるようなクルマに仕上がったと実感しています」と、語っている。
クラウン独特の価値
また、従来クラウンでは、ロイヤルシリーズとアスリートシリーズ、そしてマジェスタと性格分けをしてきたが、それをやめ、クラウンという一本の車種体系にまとめることを新型ではした。トヨタの最上級4ドアセダンとしての質の高さは当然として、走行性能も、さらなる上質さも併せ持つ、クラウンという価値を新型では改めて定義づけたともいえる。
実際、試乗をして感じたのは、優れた走行性能であり、それでいながら走りに徹した乗り心地ではなく、しなやかな上質さと、室内の静粛性を保ち、ドイツ車やほかの欧州車でもないクラウン独特の価値を体感することができた。輸入車に対する憧れや好みはともかくとして、日本で乗るうえではあえて輸入車を選ばなくても、クラウンによって満たされる豊かさを実感することができたのである。
その点を、秋山開発主査に伝えると、まさにそういう価値を狙ったと答えたのであった。クラウンは基本的に国内専用車だが、ドイツの有名なニュルブルクリンクで過酷な試験走行をあえて実施した。ただし、それによって欧州車の走りをまねるのではなく、走行性能の基本を磨きながら、乗り味はあくまで日本の交通環境を意識して仕上げられているのである。
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