トヨタ「15代目クラウン」発売1年後の通信簿 販売動向や顧客層はどのように変化したのか

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クラウンが後輪駆動(FR)であるのに対しカムリは前輪駆動(FF)で、またクラウンが国内専用車であるのに対し、カムリは海外でも販売されることから、直接的な比較に値するかどうか議論があるかもしれない。だが、カムリはアメリカではホンダ・アコードと人気を二分してきた経緯もあり、その存在は小さくない。

国内で、カムリは一時人気を落としていた時期があった。しかし、現行カムリで人気を盛り返している。アメリカだけでなく国内での販売力強化が現行車にはもたらされた。

クラウンが前型であった昨2018年1~6月の販売で、カムリはクラウンに次ぐ順位を得ており、半年で1万2057台を売っていた。そして今年の1~6月においてカムリは、1万1723台で、前年同月期と比べて97.2%と、安定した販売を続けている様子が伺える。

人気を盛り返し、そして発売から2年を経たカムリが安定した支持を得ている状況と比べても、この一年の新型クラウンの高い水準での販売力が改めて確認できる。その一方で、カムリと肩を並べる存在だったFRのマークXは、その使命を終え今年12月には生産終了となる。

顧客年齢層の高齢化に危機感

クラウンの平均的な顧客年齢層が高くなっていることへのトヨタの危機感は強く、アスリートという車種を追加するなどの施策を行ってきた。それに対し秋山主査は、「実際の年齢ではなく若々しい気持ちをお持ちの方がアスリートを支持してくださったと考えており、その意味でもすべてを進化させることによりクラウン一本でもご期待に応えることができると考えました」という。

クラウン特別仕様車の18インチノイズリダクションアルミホイール(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

また、個人の所有者のみならず、個人タクシーの資格を狙う若いタクシードライバーが「クラウンで個人タクシーをやるのが夢」と語っている。30歳代のハイヤードライバーは、「メルセデス・ベンツの走行性能の高さは認めるが、扱いやすさでクラウンは別格」と話す。日々クルマの運転をすることが業務の職業ドライバーのクラウン評であり、しかも若い視点からの意見は、1つの注目すべき見解であろう。

老若男女を問わず、クラウンの存在はやはり日本人にとって大きいことを、新型クラウンは改めて知らしめてくれたのではないか。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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