実際に使ってわかった「iPhone 11」の超絶進化 超広角カメラとナイトモードは驚異的だ

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筆者はテレビを見て育っており、映像体験として大きな画面のテレビとサラウンドが効いたスピーカーシステム、というのが標準体験となっている。

その一方で、若い世代を中心に、映像コンテンツを楽しむのもスマホ、という人が増えていることも事実だし、これは日本に限らず世界中のスマホ世代にとって同様の現象だ。

そこでアップルは、iPhone 11本体でDolby Atomsの再生に対応させてしまった。

いくつかの映画作品をiPhone 11で視聴してみたが、顔から30〜50cmの範囲で自分に合った距離感を見つけると、急に自分とスマートフォンの間にパーソナルなサラウンド空間が生まれたような感覚を覚え、セリフや効果音が後ろから聞こえてくるような体験に包まれる。

正直なところ、魔法のように思える体験だった。

背後から音がやってくる「サイコ・アコースティック」

スピーカーは受話部と本体の底面の2つだ。音が正面や後ろから聞こえてくるような感覚を作り出している。

ここには、「サイコ・アコースティック」という手法を用い、音声を単なる左右のチャンネルに振り分けて再生するだけでなく、遅延などの処理を行うことによって、音が後ろから回り込んでくるような錯覚を、脳に起こさせているのだ。

結果として、スマートフォンの前に、包み込まれるようなサラウンド空間が作り出され、これをパーソナルに楽しむことができるようになる。実際比べてみると、付属のEarPodsやワイヤレスのAirPodsよりも、iPhone 11本体のスピーカーで聴いたほうが迫力を感じるほどだった。

で、どちらを選ぶ?

短い期間だったが、iPhone 11、そしてiPhone 11 Pro Maxについて触れてきて、いずれのモデルも、そして特にiPhone 11について、これまでのiPhoneとは一線を画す進化を遂げていた、という印象だった。

事前に次世代通信の5Gをサポートしないという正確なリーク情報も出回っており、小幅な刷新に留まるのではないか、という予想が多かった。しかしカメラ、スピーカー、そしてバッテリーと、驚かされることが多く、予想を裏切られ続けた5日間だった。

個人的に気に入っているのは、iPhone 11 Proに施された背面のガラスの質感だ。ともすればまるで金属にも感じる重厚感ある趣は、これまでのスマートフォンからは得られなかった「モノ」の楽しみを感じられるはずだ。また超広角から標準までのズームレンズを備えたようなProモデルのカメラも、カメラ好きにはたまらない体験となるだろう。

その一方で、iPhone 11のカメラも、超広角と広角の組み合わせ、そしてやはり広角となったセルフィー用カメラは、写真はもちろん、InstagramストーリーズやTicTokに熱中する若い世代にとって、非常に扱いやすくまた新しいアイデアを生み出す道具となるだろう。

どちらも十二分な処理性能とバッテリーライフを備え、既存のiPhoneと比べて驚きの連続が待っているスマートフォンだ。ここはひとつ、好きな色で選んでみてはどうだろう。筆者はコケが好きなので、iPhone 11 Pro Maxのミッドナイトグリーンを選ぶことになるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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