孝明さんのほうも勘違いの多い人物だった。自分が車やバイクが好きなので、有紀さんへのプレゼントも何十万円もする車の改造グッズばかり。そんなの要らないよ……。
「プロポーズをされたときは悩みました。彼の実家に行ったときにお義母さんから『結婚してくれるんだよね』と言われてなんとなく約束してしまったので、しなくちゃ申し訳ないように思っていました。悩んでいることを彼に伝えたら、胸ぐらをつかまれて『あんなにいろいろ買ってやったのに!』と叱られたんです。どうしたらいいのかわからずに結婚してしまいました」
離婚を切り出したら殺されるのではないかと心配してしまうような結婚である。幸いなことに身体への暴力はなく、2年後には離婚することができた。最初から「半年頑張ったら別れてもいいだろう」と思い続けた、後ろ向きな結婚生活だったと有紀さんは悔やむ。
「そんな自分が嫌いになったんです。しばらく結婚はいいやと思って実家に戻り、2年間はフワフワした生活を送らせてもらっていました。でも、向いていない仕事に就いてしまい、ストレスを抱えながら早朝に運転していたら人身事故を起こしてしまったんです。相手の方がかすり傷で済んだことは不幸中の幸いでしかありません」
環境が変わり、33歳のとき婚活スイッチが入る
そんな苦しい時期を抜け出し、再び結婚をしたいと思ったのは33歳のとき。転職を機に、現在も暮らしている中国地方の港町に引っ越して「子どもがほしい。いい加減婚活しなくちゃ」とスイッチが入った。
ネット婚活、婚活パーティー、結婚相談所など、考えられる婚活はすべてやってみた。しかし、30歳を過ぎていて離婚歴がある自分は結婚相談所ではお見合いすら組めないと気づいた。
「地方では若い女の子も焦って結婚相談所に登録しているのだと思います。私は14人の男性に申し込みましたが13人から断れてしまいました」
有紀さんが男性に求めた条件は、「年収400万円以上、45歳以下、バツイチはOKだけど子ありはNG」である。それほど高い条件とは思えないが、「パッと見で美人ではない」(本人談)ために、若い競争相手に第1段階で負けてしまうのだろう。
「ネット婚活のほうは会うことだけはうまくいきました。私はメールの返信が早いので向いているのかもしれません。50人ぐらいと会いましたね。会ってみてNGでもお互いに気まずくならないように、『最初はファミレスでお茶だけしませんか?』と私から提案しました。
その中の1人と1年間ぐらい付き合っていたのですが、彼がいつまでもネット婚活を続けているので、『そろそろ真面目に付き合ってみませんか』と言ったところ、『それは無理。まだ決められない』と言われてしまったんです。34歳にしてゼロに戻りました」
今度はネット婚活の短所を体験したことになる。結婚について本気度の低い人が少なくないので、出会いは多かったとしても先に進みにくいのだ。
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