アップル新製品の目玉が「iPhone 11」のワケ 「Pro」との機能面での格差はほとんどない
処理性能の面でも廉価版ではないが、それでもアップルはiPhone 11の価格をiPhone XRの発売時よりも引き下げた。
スマートフォンに求められる基本的な要素が落ち着いた昨今、各メーカーは内蔵カメラ性能の向上に力を注いできた。中国ファーウェイがシェアを大きく伸ばしたのも、独自開発のシステムプロセッサーや、AIを用いた幻想的で美しい写真撮影が行える点が評価された面が大きい。サムスンのカメラも、ここ数年の改善が著しく、グーグルもPixelシリーズでAI技術を生かした新カメラの提案をしている。
一方、アップルはファーウェイ製スマートフォンが得意とする、被写体認識に基づく幻想的な画像処理からは距離を置いてきた。アップルのカメラ機能を開発するエンジニアたちは、目標とするのは本格的なレンズ交換式カメラに匹敵する、細かなディテールや深みのある色の再現だと公言してきた。
しかし、イメージセンサーが小さいスマートフォンでは限界があったことは確かだ。
ところがiPhone 11世代では、被写体認識だけではなく、とらえた映像全体を分析し、認識した被写体ごと個別に最適な映像を施す「セマンティックレンダリング」という手法を用いることで、幻想的な画像処理ではなく、より大きなイメージセンサーを搭載するカメラに匹敵するリアリティを持つカメラを作り上げた。
リアカメラだけでなく、フロントカメラも向上
発売に向け、今後、多くの実写画像が公開されるだろうが、メインとなるリアカメラはもちろん、自撮りに使うフロントカメラも含めて、めざましい画質の向上がみられる。これは新開発のシステムプロセッサーが持つ、機械学習処理能力の向上を生かしたものだ。
しかも、エンドユーザーは簡単な操作で調整が可能な一方で、モード切り替えなどの操作は必要ない。
撮影後に画像の傾きを補正しても、本来の画角を失うことがなく、撮影したい人物が見切れていた場合は、13ミリ相当(対角画角にして120度)という超広角カメラがとらえていた情報を使って画角を後から広げる機能もある。
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