アップル新製品の目玉が「iPhone 11」のワケ 「Pro」との機能面での格差はほとんどない

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暗闇の中で撮影する場合は、自動的に「夜間」モードに切り替わる。数秒間、手でiPhoneを保持しているだけで、ろうそくの灯り程度の暗い部屋でも雰囲気とディテールを両立した写真が撮影できる。

その一つひとつが、カメラでの写真撮影を楽しんできた人ほど驚くだろう。AI処理で「こうあってほしい」と画一的な画像処理を行うのではなく、肌の質感、髪の毛や洋服の質感、それに風景や建物の描写など、あらゆる被写体が自然に表現される。

発表会ではプロが撮影した写真も披露されたが、注釈を入れなければ、それがスマートフォンで撮影されたものだとは気が付かない。実機でのレポートが登場するたびに、ひとつの到達点とも言えるカメラ性能の向上に驚く人が増えていくはずだ。

サービス事業の強化でプラスαの付加価値を

iPhone 11、11 Proシリーズがが発表されたアップルのイベントでは、従前に発表されていた映像配信サービスの「Apple TV+」と、(いわゆるスマホゲームではなく)ゲーム専用機クラスのコンピューターゲームを定額で楽しめる「Apple Arcade」のサービス開始も同時に発表された。日本ではApple TV+が11月1日、Apple Arcadeが9月19日から、それぞれ600円で提供される。

どちらも、アップルの資金力を背景に世界トップクラスのクリエイターが、予算をふんだんに使ったコンテンツを並べている。今後も継続的にコンテンツへの投資を続けていく計画も発表された。

すでに事業として定着しているApple Musicを含め、こうしたコンテンツへの投資も、アップル製品の魅力を高めている。

Apple TV+は対応するテレビ受像機や映像端末でも利用可能だが、Apple Arcadeはアップル製品でしか遊ぶことはできない。また、Apple TV+はMac、iPad、iPhoneを購入したユーザーなら、製品登録後1年間、作品が見放題になる。

そしてアメリカではすでにスタートしていた「AppleCare+ 盗難・紛失プラン」が日本でも始まる。これは端末の盗難・紛失時、1万1800円(税別)の自己負担で新品端末を入手できる有償サポートプランだ(料金は対象端末ごと異なる)。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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