効果はかなり謎!「軽減税率」のココがおかしい ポイント還元すらまともに機能しない
不可解な点はまだある。上記の表にまとめたとおり、8%に据え置かれる食品と、そうでないものの線引きがわかりにくい。
例えば、みりん風調味料は軽減税率となるが、本みりんは対象外。食べ物を購入して、公園のベンチで食べるなら8%だけど、店が設置したベンチで食べれば10%に。飲料用の氷と保冷用の氷でも、税率はそれぞれ異なる。
「私がおかしいと思うのが、水道水にかかる消費税は10%だということ。水道水って命にかかわるものですよね。その一方で、スーパーで売っているミネラルウォーターは8%。こちらのほうが庶民にとって高級品です」
軽減税率は弱者のためのものではない
生活を維持するものとして、軽減税率を適用するべきものはもっとたくさんあるとあんびるさん。
「食料品に適用されたことは当然のこととして、電気・ガス・水道が抜けているのはおかしい。北国の人にとっては灯油もライフラインに入るでしょう。今回、新聞が“知る権利”を保証するために軽減税率の対象となりましたが、庶民で新聞を定期購読している人は減りつつあります。
むしろ、ネットから情報を取る人がかなり増えていることを考えたら、通信料も対象にしたほうがいいのでは。ネットでも話題になりましたが、紙おむつや生理用ナプキンも生活必需品なのに10%です」
ちなみに財務省の資料によると、ヨーロッパの多くの国で、食料品のほか水道水、外食、雑誌や書籍、医薬品にも消費税の軽減措置がある。
「日本の軽減税率が弱者の立場で考えられたものではないということがよくわかります」
そのヨーロッパでは近年、軽減税率の効果を疑問視する声が広がっている。税理士の湖東京至さんによれば、ヨーロッパ連合(EU)の執行機関であるEU委員会では、軽減税率の廃止や見直しが提言されているという。