効果はかなり謎!「軽減税率」のココがおかしい ポイント還元すらまともに機能しない
「事業者の事務処理が大変なうえ低所得者対策にならないとの批判があるほか、軽減税率のために国の税収が減っているからです。軽減税率をやめれば税収が上がり、むしろ標準税率を引き下げられるという考え。軽減税率の本家ヨーロッパが廃止や見直しへ動くなか、これから導入する日本は世界の流れに逆行していて時代錯誤です」(湖東さん)
このほかにも景気の落ち込みを防ぐため、キャッシュレス決済時のポイント還元が9か月限定で実施。また、プレミアム商品券、マイナンバーカードを使って貯める全国共通ポイントの発行、低年金者への最大で月5000円の給付金などが講じられている。
しかし、これらの対策で家計の負担が軽くなるかと言えば、はなはだ疑問だ。
「救済効果は微々たるものでしょう。食べ盛りの子どもがたくさんいる家庭ならともかく、高齢者世帯の食費は少ないので、家計を預かる主婦にとって軽減税率の効果はあまり感じられないのでは? ただ、外食の回数が減る、中食の回数が増えるといった変化はあるでしょうね。そういう意味で、いちばん影響を受けるのが外食産業、小売店などの流通産業でしょう」(あんびるさん)
一方、経済アナリスト・森永卓郎さんはこう指摘する。
「消費増税で生まれる負担は5兆7000億円です。それに対して、軽減税率の減税規模は1兆1000億円で増税額の19%ほど。総務省の家計調査によると、外食やお酒を除く食料費もおよそ2割です。つまり軽減税率をやったとしても、残りの8割は家計を襲うということ。しかも、プレミアム商品券とポイント還元に振り向けられる予算は4500億円しかありません」
それすら実際に利用される可能性は低い、と森永さん。使い勝手が悪いからだ。
「プレミアム商品券は子育て世帯と住民税の非課税世帯が対象。最大5000円分のおまけつきですが、役所への申請が必要など、とにかく手続きが面倒なんです。対象の半分も使われないのでは?
またポイント還元も、一般家庭の消費の主戦場である大手スーパーは対象外。実施割合も小さく、ポイント還元の登録申請をした中小の小売店は、8月末で全体の4分の1にすぎない」
ならば、消費税対策とされる2兆円はいったい何に使われるのか?
「大部分が公共事業費です。本来、公共事業に使われる予算を消費税対策として計上し、ラベルを貼り替えただけのシロモノです」(森永さん)
ポイント還元をお得に使うには?
経済の先行きが不透明ななか、節約するにも限界がある。庶民としては、少しでも増税のショックをやわらげたいものだ。