「サマンサ・コナカ誕生」でも視界不良のわけ

シナジー効果は不透明、異色タッグの難路

この一連の経緯について、ライバル紳士服チェーンの幹部は「社長が個人取引で譲り受けた株式を、次に会社が取得するという経緯は普通ではない。はたして経営戦略上の決定だったのか」と首をかしげる。

創業家の社長が取得した株式を、わずか数カ月後に会社が買い取るという展開の速さに、会社として投資の合理性を十分に精査した上での判断だったのか疑問が残るというわけだ。

コナカの広報・IR担当者は、サマンサJPをグループ化する狙いについて、「女性客の取り込みという面でシナジーを追求し、グループ全体としての企業価値向上につなげたい」と話す。

コナカは郊外型の「紳士服のコナカ」以外にも、都市部中心に若い世代向けの「スーツセレクト」を展開し、傘下子会社には主に女性向けの靴や雑貨を扱う「フィットハウス」を持つ。サマンサJPに出資することで、これらの業態での女性客をターゲットとした商品戦略などで相乗効果を見込んでいるようだ。

主力のバッグ不振で低迷するサマンサの業績

サマンサJPにとっても、コナカの傘下となることで財務面での後ろ盾を得られる意味合いは大きい。

同社は2014年度に過去最高益を記録した後、主力のバッグの販売不振などにより業績が低迷し、2016年度以降は3期連続で最終赤字に転落した。採算性の低い店舗を大量に閉店した結果、2018年度の売上高は277億円と、2016年度と比べて2割以上も減った。同期間で自己資本比率は39.3%から21.3%に低下し、財務体質も大きく悪化していた。

その反面、コナカは潤沢なキャッシュや不動産を持ち、自己資本比率も約65%と財務体質が強固。ただ、職場のカジュアル化によりスーツ需要が減少した逆風を受け、2017年度以降は売上高・営業利益とも減少基調にある。

コナカは紳士服チェーン3位の立ち位置を死守しているが、ネットカフェや結婚式場の運営など事業の多角化を進める2位のAOKIホールディングスとは売上高で約3倍の差をつけられている。スーツやビジネス関連商材が売り上げの大半を占めるコナカにとって、女性客をいかに取り込むかは重要な課題でもあった。

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