「本を速く・忘れず」に読む脳科学から見た秘策 「時間がなくて本が読めない」がなくなる技

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高速読書なら、本で得た知識を長期記憶として脳に定着させることができるので、一度身に付いた知識やスキルを忘れません。なぜこんなことが可能かというと、最新の脳科学に裏付けられた読書術だからです。

高速読書は1冊(200ページ程度)を30分で3回読む方法です。といっても、立て続けに3回読むわけではありません。時間をあけて、場所も変えて読みます。これが脳科学でいう「分散効果」を生みます。例えば勉強をする際に、一気に長時間行うよりも、休憩を挟みながら別の環境で行ったほうが、記憶として脳に焼き付く効果が高いことが証明されています。これを「分散効果」といいます。

高速読書はこれを読書に取り入れたメソッドです。また、人間が高い集中力を保てるのは15分が限界という研究から、1回目を15分、2回目を10分、3回目を5分で読むのが基本となります。

ロケットスタートリーディング

1冊を15分で読むのを実現するために、高速読書にはいくつかのテクニックがあります。ここでは「ロケットスタートリーディング」と「漢字だけリーディング」を紹介しましょう。

まず、ストップウォッチなどのタイマーを用意します。私は、無料で手に入るスマートフォンの「時間管理アプリ」をいつも使用しています。多機能である必要はありません。なぜタイマーアプリをセットするのかというと、高い「集中力」を得られるからです。

本を速く読もうと思ったとき、最も大切なのが集中力です。集中して本を読むことで、脳は活性化し、パフォーマンスを最大化させることができます。それだけ効率よく知識を脳に記憶させることができます。実際、何か心配事を抱えながら本を読んだときなど、目が文字をなぞっているだけで、ほとんど何も覚えていないといった経験をしたことのある方は多いでしょう。

ロケットスタートリーディングは、強制的に集中力を高める状況を作ります。試しにタイマーをセットして、目の前のデスクに置いて、スタートボタンを押してみてください。なんだか急き立てられるような気持ちになってきませんか?

より集中力を発揮するには、タイマーを15分にセットしてカウントダウンさせることをオススメします。スタートボタンを押すと同時に、脇目もふらず一気に読書開始。これがロケットスタートリーディングです。15分で読みきらなければならないため、読書中に集中力が途切れないようになります。

人間は始めと終わりを強制的にロックされると、その間の集中力が飛躍的に高まることが脳科学の研究でわかっています。例えば、スポーツの試合や試験がそうです。制限時間が決められていると、意識がその行為にだけフォーカスするため、脳が通常よりも高い集中力を発揮するのです。

もしスポーツの世界に時間制限がなければ、スーパープレーは起きづらいでしょう。いわゆる「ゾーン」と呼ばれる状態。これを読書に取り入れたのが、高速読書のロケットスタートリーディングなのです。

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