楽天モバイル「格安プラン」だけで勝てない理由 災害時の通信品質や大容量プランに不安感

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だが、三木谷氏は会見で、同社が世界で初めて通信ネットワークの完全仮想化という高いハードルに挑んでいることなどに触れたうえで、「基地局建設ペースは当初は遅れていたが、順調に回復している。9月中には当初の予定通り東京23区と名古屋や大阪で無事にサービスをローンチできる見込みだ」と述べた。

楽天モバイルの山田善久社長も「基地局整備と関連して無料プランが取り上げられてしまうが、サポータープログラム自体は、かなり前からこういう形でやろうと決まっていた」と述べて、あくまでも予定通りであることを強調した。

ただ、楽天がMNO参入にあたって総務省に提出した資料では、「平成31年(2019年)10月サービス開始」と明確に記されている。計画の遅れを認めるとごたごたした印象を与えかねないが、三木谷氏の説明はかえって不誠実な印象を与えそうだ。

「他社にマネできない料金体系」と自信たっぷり

一方で、注目されていた料金やプランの説明はなく、「違約金つきの契約期間の縛りは行わない」という方針が示されたのみだった。楽天モバイルはMNO参入表明時から、1500万人以上のユーザー獲得を目標に掲げており、目標を達成するには既存の大手キャリアから顧客を奪う必要がある。総務省も、楽天参入によって競争が活性化し、業界全体の料金水準を下げるのが狙いだ。その意味では、大きな目玉の発表を欠いた会見となった。

9月6日の記者会見は大きな目玉を欠く内容だった(撮影:風間仁一郎)

料金プランをまだ明らかにしない理由について、三木谷氏は「一部のキャリアはわれわれのプランを見てから考えると報道されている」としたうえで、「他社にはマネすることが出来ない料金体系になる」「政府が思っている以上の(価格の)下げ効果が出る」と自信を見せた。

三木谷氏の自信の根拠には、通信ネットワークの完全仮想化がある。三木谷氏は「はっきりいってコストが(他キャリアよりも)異常に安く、柔軟性も高い」と述べた。最先端技術を活用するという、楽天の設備投資額は2025年までで6000億円以下の予定で、年間約6000億円を設備投資に投じるNTTドコモなど大手キャリアと比べて少ない。

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