リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終 1号上場から18年、制度的不備があらわに
さくらが投資主総会を開催した背景には、「ホワイトナイト」の存在があった。
さくらは水面下で20社以上のリートと話し合いを進めていた。そして、7月19日に三井物産などをスポンサーとする投資法人みらいと合併に関する基本合意書を締結したと発表した。
ホワイトナイトが出現したかに見えるが、合併によってさくらは消滅し、実態はみらいによるさくらの完全な吸収合併だ。さくらにとってみれば、「(みらいが存続法人となることが)投資主の価値の最大化につながる」という苦渋の決断だった。
みらいがさくらとの合併に応じたわけ
では、みらいはさくらとの合併になぜ応じたのか。8月中旬に開催された投資家説明会で、みらいの運用会社である三井物産・イデラパートナーズの菅沼通夫代表はこう語った。
「みらいとさくらが合併すれば資産規模が合計2000億円となるが、この数字は極めて重要だ。世界的なリート指数であるグローバルインデックスに組み入れられる可能性が高まり、投資家に買われるようになる」
国内の金融環境も無視できない。現在、みらいの信用格付けはシングルAだ。仮にさくらと合併を果たせば、ダブルAに格付けが上がる可能性が高まる。「日本銀行はリートの買い入れ対象をダブルA相当以上としており、日銀や(日銀の買い入れ状況を指標とする)地銀からの買い入れが期待できる」(三井物産金融事業部アセットマネジメント事業室の上野貴司プロジェクトマネージャー)。
一方、スターアジアは現在信用格付けを取得していないが、「さくらと合併することで、格付け取得の可能性が高まる」(スターアジアグループの杉原亨氏)と期待する。
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