闇営業問題にも動揺しない若手芸人たちの実情 既存の価値観に縛られない「お笑い第7世代」

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最近になって「お笑い第7世代」という言葉が生まれたのは、霜降り明星のせいやが、自分たちの世代を指してそのような表現を使い始めたからです。定義も曖昧なこの言葉は、新しい世代の若手芸人の総称として使い勝手がよく、便利なフレーズでした。だからこそ、お笑い界でじわじわと浸透していったのです。

霜降り明星・粗品氏(写真:つのだよしお/アフロ)

実際、2018年に入ったあたりから、この新しい世代の活躍が急に目立ってきました。「R-1ぐらんぷり」優勝の濱田祐太郎、「ABCお笑いグランプリ」優勝のファイヤーサンダー、「キングオブコント」優勝のハナコなど、20代が中心の若い芸人がコンテストで続々と頭角を現してきたのです。また、バラエティでも、宮下草薙、四千頭身など、若い世代の活躍が目立ってきました。

極めつけは、2018年に「M-1グランプリ」で優勝した霜降り明星です。霜降り明星の粗品はそのわずか3カ月後、ピン芸人として「R-1ぐらんぷり2019」でも優勝を果たし、前人未到の二冠を達成しました。

テレビを絶対視しない第7世代

お笑い第7世代としてくくられている芸人にはそれぞれ個性があり、一口で言える共通点があるわけではありません。ただ、世代が近いということで、何となく似通っているようなことをいくつか挙げることはできます。彼らは確実に上の世代の芸人が持っていないものを持っているのです。

彼らの最大の特徴は、物心ついた頃からインターネットが身近にあったデジタルネイティブ世代であり、お笑い以外の文化にも幅広い関心を持っているということです。

具体的に言うと、上の世代の芸人と比べて、地上波テレビを絶対視するような意識が薄く、ユーチューバー的なものにも偏見を持っていない人が多いのです。

娯楽が少ない時代には、テレビは情報源としても暇つぶしの道具としても若者に不可欠なものでした。しかし、今はそうではありません。「芸人はテレビを目指すのが当たり前」という常識は彼らには通用しません。実際に芸人の活躍の場はどんどん広がっていて、もはやテレビだけが絶対的な存在ではないのです。

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