闇営業問題にも動揺しない若手芸人たちの実情 既存の価値観に縛られない「お笑い第7世代」

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例えば、第7世代のリーダー格として台頭している霜降り明星の2人は、決して上の世代の芸人に無闇に噛み付くようなまねはしません。でも、彼らは取材などで「同世代の芸人で新しいものを作っていきたい」などということをたびたび語っています。また、芸人だけではなく「同世代のミュージシャンやユーチューバーとも一緒に何か仕掛けていきたい」とも話していました。自分たちの世代で世の中を盛り上げていきたいという気概があるのは頼もしい限りです。

また、ただ有名になりたい、好きなことをやりたい、お金を儲けたいということであれば、ユーチューバーなどのほかの選択肢がたくさんあるこの時代に、あえてお笑いの道を選んでいる彼らは、上の世代の芸人よりも、お笑いに対して純粋でまっすぐであると言えます。

例えば、お笑いコンビはお互いに対する信頼感や仲のよさについて公言しないことが一般的でした。でも、霜降り明星はそれを隠しません。2人ともお笑いに対する姿勢がピュアで、照れもなく熱いことを言ってお互いの才能を認め合い、励まし合っているのです。

既存の芸人にはない「新しい感覚」

また、お笑い第7世代の芸人は、上の世代にない新しい感覚も持ち合わせています。例えば、チャラ男芸人として知られているEXITの兼近大樹は、「M-1グランプリ」などのお笑いコンテストでは「古きよきもの」が奨励されているような気がして、自分はそこに寄りかかりたくはない、という趣旨のことを話していたことがあります。

多くの若手漫才師は「M-1」に出ることを大きな目標にしています。一方、兼近はそこに縛られず、今の観客に向けて面白いと思ってもらえるものを作ることにこだわっているのです。

吉本興業所属のお笑いコンビ・EXITの兼近氏(@kanechi_monster)ツイッターより

昨今の吉本騒動に際しても、兼近は自身のツイッターで「チャラ男なのでこれで変わらない会社ならとんじゃうよーー」「会社から芸人にしっかり説明求む!」「会社を守る為の一方的なヒアリングはもう良いだろう?」と、事務所に対して率直なメッセージを発信していました。

売り出し中の若手芸人でありながら、悪いものは悪いと断じるその姿勢は、新しい世代ならではの感覚だと思います。

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