学生時代に、勉強をするにあたり家で集中できないので、図書館に行ったり、予備校の自習室を利用したことがある方も多いと思います。場所を変えるというのは心理学的にも効果のある方法です。直接的に自分を変化させようとするのではなく、環境を変えることによって間接的に自分をコントロールすることが可能になるのです。
実際に、怒っている人にクールダウンしてもらうには「別の場所をご用意させていただきました」と部屋を替えると効果的ですし、ハラスメント問題では、職場内の席替えをしただけで収まるケースもあります。また、会議室でないところで会議をすると新鮮な意見が出てくることもあります。カフェなどに出向いてみたり、座る位置を変えてみるなど、環境(場所)を変えてみるのも1つの方法です。
また、せっかく取り掛かっても集中力が続かないこともあるかと思います。人間の集中力が持続する時間の限界は、年齢や個人差もありますが、一般的には45分程度と言われています。私は、自衛隊の研修を行っていますが、50分に1回の休憩を必ず入れるように指示されることは珍しくありません。デスクワークをしていても1時間に1回くらいは、座ったままできる簡単なストレッチをしたり、立ち上がったりしたほうがよいと言われるのもそのゆえんです。
また、限界が45分ですから、それ以下でもまったく悲観することはありません。ですから、一度に長い時間やろうとしないで、こまめに休息を入れて緩急をつけることも大切です。休んでいるほうが多くなってしまったとしても、一気に集中すれば問題はないのです。仕事や勉強を「切りのいいところまでやって終わらせよう」と思い、ずっと忍耐とともにやり続けるほうがパフォーマンスは落ちます。一度、作業や仕事から離れても、脳は途中になっているタスクを処理しようと動き続けていることがわかっており、いったん離れたほうがよいアイデアが出たり、集中力が高まるのです。
五感の中で、嗅覚は最も気持ちに影響を与えるものです。気持ちが落ち着く好きな香り(アロマなど)を用意するのも効果的です。ただし、香りを発生させるようなものはプライベート空間に限って行ってください。香りの好き嫌いは、個人差があり、職場などでの使用は「スメルハラスメント」になってしまう可能性があります。最近はとくにこの問題は多く、強い香りの柔軟剤でもトラブルになるので気をつけてください。
コーヒーの香りにはリラックス効果もあり、コーヒーブレイクなどもお勧めです。
適度な雑音も効果的
また、音楽を聴きながら集中できるという方も多くいると思いますが、集中している最中は音楽を認識できていないと思います。集中するためのルーティンとして導入に使用できれば効果的ですし、歌詞の入っていないインストルメンタルなどを利用するのもよいかと思います。
ある程度の雑音があったほうが集中しやすい傾向もあります。無音に慣れすぎてしまうと、試験会場などでほかの人の鉛筆や紙の音に過敏に反応してしまったり、ざわざわする会議などで集中できなくなるといったデメリットもあります。生活音を遮断することはなかなかできないと思いますし、心地よいBGMを静かに流すなど、ご自身にフィットするものをその時々に応じて取り入れていただければと思います。
気持ちが向けば、取り組むことはたやすくなります。作為的であっても環境を作り出すことで、習慣に結び付けることも可能です。いつの間にか集中できるオリジナルルーティンを作るきっかけとしていただければ幸いです。
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