香港デモは「第2の天安門事件」を招くのか?

本当の山は「9月以降」に来るかもしれない

最新のThe Economist誌は、こんな辛辣な評を載せている。(The “black hands” conspiracy 8月17日号)

もっとも憂慮すべきは、中国の支配層が「どうせ力が正義であり、大が小を呑み込むのだろう」という海外からの暗い、シニカルな見方を裏切っていることである。たった730万人の香港人が、14億人同胞の意思よりも自分たちの権利を優先するとは、彼らには思いもよらない事態なのだ。ちっぽけな香港が強力な大陸本土に挑戦するようなら、他の勢力もそれに続くであろう。

両者の認識はかくも離れている。そして最近は台湾との関係もそうなのだが、中国外交からはかつてのような度量や余裕が消えてしまっている。かつてであれば、デモ隊を丸め込むような「大人のゲーム」を展開したと思うのだが。

香港デモはまだ何週間も続くことだろう。どこかの時点で北京が武力制圧に出て、「第2の天安門事件」になってしまうのではないか。もちろんその前に、SNSやフェイクニュースを使った情報戦など、あらゆることを試すだろうけれども。

他方、以前はほとんど関心を示さず、香港デモのことを”Riot”(反乱)などと呼んでいたドナルド・トランプ大統領も、「天安門のような暴力的事態になれば、貿易協議での取引は困難になる」などと中国を牽制するようになっている。ご自身は、あいかわらず通商問題にしか関心がないようなのだが、アメリカ国内では世論の関心が着実に高まっている。再選を意識する大統領として、これを無視することはできないだろう。

一帯一路サミット、建国70周年後に「要注意」

「第2の天安門事件」は今一番の地政学リスクと言える。確率は低いが、実現してしまうと大変なことになる。ヒトとカネと企業が一斉に香港から逃げ出し、米中の対立が後戻りできないところまで行ってしまう。世界経済にとっても、「貿易戦争」や「ブレグジット」、「逆イールドカーブ」以上のリスクといえよう。

この先に重要日程がいくつか控えている。ひとつは9月11-12日に香港で行われる「一帯一路サミット」だ。2016年から毎年行われていて、今年で4回目。海外から招いた賓客の目の前で派手なデモが展開されるたら、習近平主席のメンツは丸つぶれになってしまう。

もうひとつは10月1日の建国70周年である。習近平体制にとっては、この日を万全の状態で迎える、ということが今年の最重要課題。できればその前に、下手なことはしたくない。デモ隊側は、この日を運動のピークに盛り上げたい。逆に言うと、この日を無事に過ごした後が要注意かもしれない。

2つの重要日程を控えて、8月22日から26日にかけて北京で全国人民代表者会議常務委員会が開催されている。香港基本法は、全人代の常務委が「制御不能の動乱」と判断し緊急状態と認めれば、「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定している。すなわち武装警察の出動も可、となり得る。これは単なる脅しなのかどうか。

「起きてほしくないことは考えない」のは、昔からのわれわれの悪い癖である。おのおの方、くれぐれも香港から目を離されませぬように(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページここからは競馬コーナー。週末の札幌のレースを予想!
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