私が「イクメン」という言葉にモヤモヤする理由 43歳で子を授かってガラッと変わった視界

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明るい発見だけでなく、暗い発見もある。

例えば、児童の虐待だ。児童虐待のニュースがあるたびに胸が痛む。「ひどい!」「許さない!」と思うだけでは問題は解決されない。私が始めた小さくても確実なアクションは、都議などに相談することだ。都議会の厚生委員会のメンバーを調べ、その中から地元選出の議員のウェブサイトを見つけてメールアドレスを調べ、政治家として動いてほしいと、直接お願いのメールを出した。

児童虐待は「誰かが起こした事件」や「論ずべき対象」ではなく、「自分に関係あること」として捉えた。

大事なのはイクメンアピールより子どもの命を守ること

虐待した親は、子どもが生まれた瞬間から虐待親だったとは限らない。なにが彼や彼女を児童虐待へ向かわせたのか。親がなにかに追い詰められた結果、暴力の矛先が弱い子どもに向かったと考えるのが自然ではないだろうか。「なにか」は、もしかしたら「社会」と言い換えられるかもしれない。

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そして、悪状況が重なったとき、私自身が加害者になる可能性は、「絶対にない」と言い切れるのだろうか、とも考えた。

2017年3月、離乳食にハチミツを使用していた6カ月の赤ちゃんが、死亡する事故があった。1歳未満の赤ちゃんは、ハチミツを食べることで乳児ボツリヌス症にかかる可能性がある。ハチミツを食べさせるなら1歳を過ぎてからにするということは、母子手帳にも記載されている。ところが、私は父親になるまで知らなかった。

初めての子育ては、知らないことばかりだ。少しずつ学んでいくしかない。しかも、子どもが生まれた瞬間から子育てレースは待ったなしで進んでいく。親になったからには、子どもを保護し育てながら、仕事も家事も回していかなければならない。

乳幼児は、ちょっとしたことで、すぐに傷ついてしまう。場合によっては、いのちを落としてしまうこともある。

新聞記事の裏側がより実体を持って見えるようになってきた今、言いたいことは、「大事なことはイクメンアピールじゃない。いのちを守ることなんだ!」ということだ。

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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