私が「イクメン」という言葉にモヤモヤする理由

43歳で子を授かってガラッと変わった視界

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業」によると、男性が育児休業を取得しなかった理由として「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」(37.0%)や「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」(19.0%)などが上位を占めた。

これらは日本の「人に仕事をつける」、つまりマルチタスクで、仕事の範囲が明確ではない雇用システムに起因するものでもあり、解決は簡単ではないことを確認しておきたい。

「働き方改革」は「早く帰れ運動」に矮小化されてしまった。しかし、根本的な雇用システムの問題から、「早く帰れ」だけでは労働者が疲弊してしまうのと同じ状態がここには見て取れる。「働き方改革推進企業」「育児応援企業」なるブランドを手に入れるために、1週間程度の休みを「取得させる」企業が増えることを是とするのか、疑問も残る。

仕事は休めても育児は休めない

ここで確認しておきたいのは、「育児休暇」というが、これは「休む」ことができる期間なのかということである。「育休」という言葉に「休」という文字が入っているからか、当事者以外は「休んでいるのだから、家事も子育てもできるでしょう」と考えがちだ。決してそうではない。仕事はサボっても死なないが(たまに致命的なミスというものはあるが)、育児はサボると子どもの命に関わるのである。

育休を取得しているママに休んでいる時間はまったくない。赤ちゃんが家にいて、ママがお世話をしている状況では、ママはつねに気が張っていて心身共に余裕がない状態に置かれている。日中、仕事に出かけているパパは、その姿を見ずに済んでいるだけなのだ。

夫婦で対応したところで、さまざまな事件が起こる。私は仕事柄、柔軟な働き方が比較的可能なことに加えて、子どもが生まれたときは、長めの夏休みだったので、可能な限り家にいることにした。

妻は育休を取っていたのだが、書斎にこもって仕事をしている私に、妻からは何度もヘルプの声がかかった。「ミルクのふたを開けてほしい」「空になったティッシュを入れ替えてほしい」「オムツを持ってきてほしい」「買い物に行ってほしい」などなど。人間リモコン状態だった。

私が書斎にいなければ、妻はなんとか1人で乗り切ったことかもしれない。でもそれは、小さないのちを守るために、乗り切らなければならないから妻が1人で頑張るだけであって、難なく乗り切れているわけではない。自宅で仕事しているとはいえ、手の届くところに夫がいたら、妻がその夫に頼みたいことは山のようにある。それが、赤ちゃんのいる生活だ。

私は人間リモコンであることを受け入れた。台所から水やお湯を運んだり、オムツを運んだり、食器を片づけたりと、家事とも雑用ともつかないことを、毎日繰り返してやり続けた。子どもが生まれる前から担当していた料理や、ごみ捨て、買い出しはもちろん、これまでどおり取り組んだ。大事なことは、リモコンが押されたときに、電波の届く場所にいること。そしてバグらないことだ。

産後のママはいろいろコントロールの難しい体で、待ったなしの家事と子育てをしている。

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