日本人は温暖化に伴う食料危機をわかってない

平均気温2℃上昇で食料不足は深刻化する

注目すべきは、「気候変動=地球温暖化」によってもたらされる最大のリスクの1つに「食糧不足がある」ということだ。メディアも目先の天候にばかり注目して、将来のリスクについて報道しようとしない。

極端なことを言えば、地球温暖化=食糧不足=日本国民が飢える――という現実がありうることを直視しなければならない。

2℃程度の気温上昇で地球環境は劇的な変化を遂げる?

このところの異常気象は世界的な規模で、しかも同時に発生している。今年の夏だけ見ても、欧州では熱波による猛暑が続き、フランスのパリでは最高気温42.6℃を記録した。さらにインドでは50.8℃を記録している。

一方で、グリーンランドでは1日で126トンの氷河が溶け、シベリアやアラスカでは100件以上の大規模な山火事が発生。同様に、アメリカやタイでも干ばつや渇水、大規模な洪水などが次々に起きている。

アメリカのドナルド・トランプ大統領やそれを支持する保守系が何と言おうと、現在の世界は異常気象といっていい。

そんな中で、 国際労働機関(ILO)も、この7月1日に2030年までに気候変動による労働環境の変化(悪化)によって、世界で2兆4000億ドル、日本円にして約260兆円の経済的損失が出るという試算を発表して世界を驚かせた。

2030年と言えば、わずか10年後だ。この10年間で世界中で260兆円分の経済的損失が発生するということだ。100年に1度の経済危機といわれた「リーマンショック」の経済的損失が1000兆円だから、リーマンショックの4分の1程度の経済的損失が、2030年までに発生することを意味する。地球温暖化による労働環境の変化だけで、だ。

言うまでもないことだが、経済的損失は労働環境の変化だけではない。最も懸念されているのが、熱波襲来、大規模洪水の発生、壊滅的な干ばつなどによる農産物の生産量減少だ。

IPCCの報告書では、平均気温が2℃以上上がることで、地球は人間などの生態系にとって深刻な影響を及ぼすと警告している。パリ協定のメンバーである国家には、温室効果ガスの削減や石炭、石油、天然ガスの使用量を減らし、環境にやさしいエネルギー源への迅速な移行が義務づけられている。

最近になって、「地球の肺」といわれるアマゾンの森林破壊が、“毎分”当たりサッカー場の1.5倍に達しているという報道があった。人工衛星を使ってアマゾンの森林破壊を監視している「ブラジル国立宇宙研究所」の調べだが、今年1月に発足した右派のボルソナロ大統領が、ブラジル経済の回復にアマゾンの開発を進めることを公約したためだ。

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