日本人は温暖化に伴う食料危機をわかってない 平均気温2℃上昇で食料不足は深刻化する
アメリカのトランプ大統領のパリ協定離脱表明以降、地球温暖化が顕著になりつつある。この期に及んで、地球温暖化を否定する政治家が次々に現れてきている。既存のエネルギー業界など、地球温暖化対策によって自分たちの生活基盤を失うおそれを抱く人々の意向を受けた政治家が動いているからだ。
IPCCの報告書が指摘するように、穀物価格が2050年までに最大23%上昇するとすれば、世界はどんな対応をすればいいのか。2050年といえばあと30年後。遠い未来のことのように思えるが、果たしてそうなのか……。
現在、すでにこの世界では、8億2100万人が飢餓に苦しんでおり、20億人が鉄や亜鉛などの必要不可欠なミネラル(微量元素)を摂取できないといわれている。トランプ大統領やブラジルの森林破壊はさておき、とりあえず2015年に200カ国近くが参加して採択されたパリ協定を世界は全力で達成する必要がありそうだ。
気候変動の影響を最大限に受けるのは日本?
さて、IPCCが指摘した2050年の穀物価格が最大23%上がるリスクに対して、日本はどう対応していけばいいのだろうか。日本はカロリーベースで自給できている食料は4割未満にすぎない。
かつてはいいブドウが作れなかったイギリスで最近は良質のワインが生産され、逆にイタリアやフランスが良質のブドウの確保に苦心している。それと似たような現象がすでに日本でも起きている。
そもそも日本は「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」やEU(欧州共同体)との「経済連携協定(EPA)」、チリやASEAN全体と「自由貿易協定(FTA)」を締結することで、日本国内で生産する農産物を次々に切り捨てる農業政策を展開してきた。
しかし、穀物輸出国である国も食糧危機に陥れば当然国内を優先にするはずだ。その時に、日本はどうなるのかという心配をしておくことが大切だ。
・豆類……7%
・穀類……28% (食用穀類59%、うち小麦12%、粗粒穀物1%)
・砂糖類……34%
・果実類……38%
・肉類……51%
・魚介類……55%
・牛乳・乳製品……59%
この中で注目したいのは、穀類全体では28%の自給率だが、その内訳を見ると小麦はわずか12%しか自給できていないことだ。
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