ユニゾ買収、HISはどこでボタンを掛け違えたか 「白馬の騎士」にソフトバンク系ファンド登場

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ユニゾの当時の開示資料によれば、ハウステンボスの運営方針が変わり、ホテルヨーロッパが閉館する可能性があること、再生計画の一環として賃料の見直しが条件とされており、同社からホテルヨーロッパの譲渡を求められたことが記されている。

そして、ユニゾは当時の簿価で約43億円あったホテルヨーロッパをわずか0.5億円でハウステンボスに譲渡。関連損失も含めて、2010年3月期に45億円の特別損失を計上した。

株式市場はもう一段のTOB価格切り上げを期待

今でこそハウステンボスはHISの大きな収益柱だが、2010年当時は経営再建の展望が見えない状況だった。HISにとってもユニゾにとっても、ホテルヨーロッパの譲渡と損失計上は仕方がない選択肢だったかもしれない。

ただ、HIS側が今回のユニゾ買収を進めるにあたって、ユニゾの過去の協力に敬意を払い、澤田秀雄会長兼社長自身が提案を持ちかけていれば、もう少し違う結果になっていた可能性はある。

ユニゾをめぐっては、HISとエリオット、今回のフォートレスと、当事者が増えるたびに株価が釣り上がってきた。8月19日時点のユニゾの終値は4080円と、フォートレスの提示した価格を上回る水準だ。

ある市場関係者が「株価が示しているのは『もう一波乱ある』という市場の期待だ」と指摘するように、市場はもう一段のTOB価格切り上げを期待している。ユニゾが保有する不動産の含み益は2000億円以上あり、見ようによっては株価はまだ割安と捉えることもできる。

次の焦点は8月23日。HISがTOB終了までにどれだけの株式を集められるか。その結果次第で、各社の出方も変わってきそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と2人の娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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