「親の金」を将来確実にもらうための5つの鉄則 親をかんぽ生命のような「酷い営業」から守れ

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しかし、高齢者に限らず、金融機関の営業担当者に親近感を覚えて、あれこれと話を聞いてしまう状態は、極めて危険だ。とくに、親御さんが高齢の場合は、「営業は、もう結構です」という意思表示を本人と家族が一緒になって、金融機関に対してはっきり表明しておくことが望ましい。

筆者の母親(80代)は札幌に住んでいて、さる証券会社と取引がある。筆者は、3年ほど前に帰省したときに、母と証券会社を訪ねて、担当者と上司に対して、「母はもう高齢ですし、新たな運用商品を買いたいとは思っていません。今後一切、営業勧誘はしないでください」と申し入れに行った。

その証券会社は、どうやらコンプライアンスがしっかりしているらしく、その後問題は起きていないが、この程度のことでは勧誘行為を止めない金融機関もあるので、十分気をつけたい。申し入れの際には、営業担当者本人だけでなく、上席者にも同席を求めることと、目の前でメモを取ることが重要だ。

もちろん、けんかに行くわけではないので、丁寧に用件を述べるのが大人の態度である。

信頼できる家族に「任意後見人」になってもらう

【第3条】親が認知症になった場合の対策を事前に済ませよ

個人差はあるが、加齢とともに認知機能が衰えることがあるのは致し方ないことだ。問題は、本人の意思がしっかりしているときに、あるいは認知効能が衰えたときのための備えをしておく必要がある。

本人の認知症が進んでしまってから、家庭裁判所に後見人の選任を申し立てると(子どもが自分を推薦して申し立てても)、弁護士や司法書士などの職業後見人が付いて財産の利用が不自由になり、ラップ口座並み(!)の高い手数料を、本人が亡くなるまで取られ続けることがある。

残念ながら100%完璧な対策はないのだが、信頼できる家族を選んで、この人が、もし必要がある場合には「任意後見人」になるような契約を、金融取引の代理人になる契約(財産管理等委任契約)と一緒に契約書に認めて、公証役場に持って行って有効な契約にしておくといい。いきなり職業後見人が付くリスクを回避する対策となる。

なお、任意後見に移行するのはよほどの事情が生じた場合であって、通常は、家族が代理人として財産を管理し続けることが便利だ。

筆者は2人兄妹だが、幸い、歳の離れた親孝行な妹を持っている。彼女を母の代理人兼、必要がある場合の招来の任意後見人として、前記のような契約を作った。

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