「機動戦士ガンダム」の人気が40年も続く理由 ヒットの仕掛け人が明かす「ガンダムの未来」
――ガンダムは今や年間約800億円を売り上げますが、人気に火がついたきっかけは?
ガンダムは、サンライズがゼロから生み出した新規IPで、最初から大ヒットしたわけではない。初代のテレビアニメシリーズは、視聴率が悪くて1年で打ち切られているわけよ。
そんな状況の中、人気に火を付けたのは大学生だった。テレビ局や、アニメ雑誌の編集部に投書や電話をして「なんであんなにいいアニメを止めるんだ」と抗議した。インターネットがない時代に、すごいことだと思うね。こうした熱に動かされて、映画が3本作られ、ガンプラも売れた。そうして、5年のブランクを経て1985年から再びアニメシリーズが始まった。
ガンプラの売り上げは3割が海外
――中国など、アジアでも大人気です。
ガンプラの売上高のうち、どれくらいの割合が海外だと思う?実は、3割以上が海外での販売で、国内でのインバウンド需要も加え、半分くらいはアジアを中心とした海外の方が買ってくださっている。
将来的に期待しているのは北米市場。なぜかというと、アメリカの「ヒーロー像」に対するイメージがここ2~3年ですごく変わってきているのを肌で感じるから。ガンダムが描いているのは、戦争で勝った側も、負けた側も、両方に正義があるということ。しかも、主人公のアムロは、ロボットから降りて「戦いたくない」と言う。だから、北米市場で展開するには、完全無欠のヒーローが悪を打ち負かす、アメリカ専用のシリーズを作る必要があった。だけどそれは、もはやガンダムじゃないでしょ。
それがここ数年、日本のガンダムをそのまま持っていっても受け入れられる土壌ができてきた。実際、アメリカで大人気のヒーロー映画『アベンジャーズ』も、すごく丁寧に敵の内面を描いたウェットなストーリーだ。
――北米進出策としては、ハリウッド実写化を企画されていますね。ただ、作品の世界観を守りたいファンからは賛否があるようです。
アメリカ・ロサンゼルスで製作発表をした後、「宮河、なにやってるんだ、ちゃんとできるのか」と猛烈な批判が来た。ただ僕にとってそれは嬉しかった。だって、皆さんに関心をもって貰えている証拠でしょ。
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