新人研修でラジオDJする福島のガス会社の凄さ 世界最先端の社員教育を自然に実現していた

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企業の新人研修は業務に直結する内容が多いですが、アポロガスという会社ではさまざまな研修を行っています。写真はイメージ(写真:EKAKI/PIXTA)

2010年8月に、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙に「2011年にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業後、いまは存在していない職業につくだろう」という記事が出て話題になりました。ご存じの方も多いと思います。

この記事には衝撃を受けました。私は福島市内を中心にLPガスや灯油、重油などを提供するアポロガスという会社の会長を務めています。LPガスの市場はすでに成熟しており、この先、大きく拡大が見込めるものではありません。

そのため、これまでもガス事業だけにとどまらず、リフォーム事業や新築・不動産事業、太陽光発電事業、近年では、水素ステーション事業など、ライフラインの事業を展開してきました。

このように「いま存在している仕事」であれば、さまざまに傾向と対策を分析して、チャレンジのしようもあります。しかし、「いま存在していない仕事」に対しては、手の打ちようがありません。当社が生き残るには、どうすればいいのか? 

私は途方に暮れてしまいました。その後、どのようなことに取り組んでいったのか。拙著『福島の小さなガス会社がやっていた 世界最先端の社員教育』から、エッセンスをご紹介します。

新人を変化対応力のある人材に育てる

私の頭に浮かんだのは、「変化対応能力の高い組織をつくっていく」ことでした。つまり、どんな大激変の時代にあっても、そこに対応し、生き残っていける組織をつくっていく、ということです。実際、地球上の生命が生き残ってこられたのも、こうした変化対応能力が大きかったといいます。

このことは「会社」でもいえるのではないでしょうか。多様性のある、「引き出し」を多く備えた組織は、予測不可能な時代に、どんな環境の変化が起きようとも、それに合わせて自らを変化させ、新しい事業を創出していけるはずです。そして、組織をつくっているのは「人」です。

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