今回の株価下落は、トランプ大統領がさらに追加関税をかけるとツイートしたことに端を発します。しかし、これはディールの一環で最初から考えていた手を打ったにすぎません。
要するに、初めからいずれこれをやるというのは予想できることです。メルマガでは明確にそう書いてきましたし、市場関係者でこの辺を理解していない人はもうほとんどいないんじゃないでしょうか。恐らく自分で参加したことのない、メディアや学者、エコノミストだけが右往左往していて、だんだん話が大きくなっているような気がします。ある意味怖いですね。そうした人たちの分析を読んで大変だ、と思っている皆さんはもっと怖いです(笑)。メダカがクジラになってしまっている。
これも何度も書いていますが、トランプという人は本気で喧嘩する気は全くないのです。あくまでもディールの一部としてやっているだけなので、要するにプロレスでチョップを打ったり打たれたりしながら、大げさに倒れたりしている、というのが現状なのに、なんで市場が右往左往する必要があるんでしょうか。別に放っておけばいいし、安くなった株があれば買えばいいのです。
米中は本気で戦う気などない
1ドル=105円台なんて、しばらく来るとは思ってなかったレベルですから、ドルが欲しかった人は「しめしめ」でしょう(元安の余波でアジア通貨が全面安となり、逃避資金として円が買われているわけです。FRB(米連邦準備制度理事会)がどーしたこーした、と言っている人がいますが、信じられませんね)。
一方、中国の習近平主席にしても、本気で喧嘩する気は毛頭ありません。このままプロレスをやり続け、来年の大統領選挙でトランプが負けてくれればラッキーだ、というモードにすでに入っています。「国有企業への農産物の輸入停止要請」はチョップより少し強力なバックドロップという感じですが(笑)、アメリカに致命傷を与えるわけではありません(アメリカはほかに売り先がいくらでもある)。
この話の中で最もまずいのは、お互いにエスカレートしていって、貿易摩擦のレベルではなく、米中によるイデオロギー(ここでは国家の思想体系)の対立になることで、そこまで行くならこれは大変な影響があります。このレベルはディールになりません。それこそ世界経済は凍り付くでしょう。
例えばアメリカが「中国共産党の1党独裁は許さん」、と言い出したり、中国が「アメリカこそ人権侵害を繰り返している(人種問題その他)」とやりだせば、合意などしようがなくなり、まさに米中激突。ただ、先ほど書いたように、お互いにそこまでは全く望んでおらず、どこかで手を打つということになるわけです。まさにトランプのプロレスに習近平が乗って見せた、ということに過ぎません。
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