あらかじめ予想されていたこととはいえ、実際にそうなってみるとこの事実は重い。7月30-31日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、政策金利の0.25%引き下げを決めた。
パウエル議長はつらいよ
ドル金利が下がるのは実に10年半ぶりのこと。2008年のリーマンショックの前後、米連邦準備制度理事会(連銀)は利下げを繰り返し、2008年12月にはゼロ金利(政策金利の誘導水準が0~0.25%)に到達した。
ようやくアメリカ経済が復調し、利上げを開始したのは2015年12月になってから。「やれやれ、これで金融政策の正常化だ、出口政策だ」と思っていたところ、話はそんなに簡単ではなかった。過去3年半の間に、利上げは0.25%×9回だけ。我慢強く進めてきたつもりだったが、それでも性急に過ぎたということになる。
今回は同時に、連銀の保有資産縮小計画も予定を前倒しして中止が決まった。リーマンショック以降、連銀は3次にわたる量的緩和政策を実施し、米国債などを買いまくった。その結果、連銀の保有資産は8000億ドルから4.5兆ドルにまで膨れ上がった。これも2017年秋からじょじょに縮小を開始し、直近では3.8兆ドルまで減っていたのだが、今後は満期になった分を買い替えるという形で資産規模を維持することになる。
ところが、ドナルド・トランプ大統領はと言えば、あいもかわらずこんなツィートを発している。
「いつものことながら、パウエルにはガッカリだ。それでもとにかく量的縮小を止めようとしている。最初から始めるべきじゃなかったんだよな、インフレは起きてないのだし。ともあれ、われわれは勝利しつつある。連銀はちっとも私を応援してくれないけどね!」
おいおい、大統領がそんな風に口を出すものだから、金融政策がやりにくくなっているんじゃないか。ジェローム・パウエル議長は内心、「大統領に言われた通りにやってるんじゃないんですから!」と叫びたいところだと思うぞ。
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