渋野日向子が笑顔に秘めた圧倒的強さの内面 胸を打つ言葉の数々が驚異的な好感度を生む

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ジュニアゴルファーへのアドバイスを求められたときも同様。「ゴルフは自分の意思で頑張らないといけないので、『楽しむことが大事』と感じてもらいたいです。結果を出すために苦しい思いをするのはあまり……自分も何回か経験はしているので、苦しかったですし、笑って楽しんでほしいなと思います」と答えていました。

やはり、確固たる理由があって笑顔でいるのでしょう。今回の快挙を支えたのは、苦悩や葛藤を経て身につけたセルフマインドコントロールだったのです。たとえばビジネスシーンでも、「苦しそうな状況なのになぜか笑っている」というたくましい経営者は少なくありません。ただ、社員や取引先から見て、眉間にしわを寄せてうつむいていたり、怒りをあらわにしたりする経営者よりも信頼できるのではないでしょうか。

また、渋野さんが笑顔でいるのは、「プロゴルファーはギャラリーさんがいて見せる競技なので、楽しんでもらうためには自分が心の底から楽しんで笑顔でやらないと、みんな楽しくないと思うので心がけています」という強いプロフェッショナル意識によるものでもありました。

「優勝してからずっとニコニコしていますが、うれし泣きした瞬間はありましたか?」と聞かれた渋野さんは、「まったくないです。泣いてないです。すみません、アハハ」と即答。このような受け答えもあって、大先輩のレジェンド・樋口久子さんが「彼女は新人類」とコメントしていましたが、実際の渋野さんは「セルフマインドコントロールができる」「プロフェッショナル意識が高い」など、極めてビジネスパーソン的素養の高い人物像なのです。

今回の優勝で、「笑顔は世界共通で、言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れると思いました」「この笑顔で世界のいろんな人に知っていただけました」という学びを得ただけに、渋野さんの笑顔はこれまで以上に増えていくでしょう。

“黄金世代”の自分を冷静に分析

もう1つビジネスパーソンの参考になりそうだったのは、ライバルについて聞かれたときのコメント。渋野さんと同じ1998年生まれの世代には、15歳で国内ツアー優勝を果たした勝みなみさんと、アメリカツアーで3勝を挙げた畑岡奈紗さんを筆頭に、国内ツアー優勝経験者の大里桃子さん、河本結さん、原英莉花さん、新垣比菜さん、小祝さくらさんら、「前例のないほどの黄金世代」と言われています。

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