元リクルート出世頭が狙う、UIの世界王者 デザインは集合知で改善できるのか?
サービスの最大の特徴は、UIのデザイン自体をクラウドソーシングでオファーできる点だ。どのページをどのように改善したいのかを設定しオファーを出すと、世界中のグロースハッカー(UIの最適なデザインを提案できるプロフェッショナルたち)が、デザイン案を作成する。気に入ったデザインを選択したあとはA/Bテストを実施し、自動的に効果の高いデザイン案を採用する。採用されたデザイナーには、改善度合いに応じて報酬が支払われる仕組みになっている。これにより、社内でデザイナーを抱えずとも、UI改善を行えるようになるという。
グロースハッカーが集まれば、それだけクライアント側の利便性が増し、クライアントが増えれば、仕事が欲しいグロースハッカーのチャンスが増える。サービスのモデル自体が、「改善」を続けている。
集合知の力で、デザインを改善し続ける
須藤CEOは、リクルート入社後、アドテクノロジー部門の最年少執行役員として活躍。リクルートという巨大企業での経験が、起業のきっかけになったという。
「リクルートでウェブサイトの集客や改善をやっていましたが、これがかなり大変でした。ウェブの世界を見ていて気づいたのは、ユーザーにとって、機能性と同じくらい使いやすさが大切であるということ。サイトの収益を上げようとすると、すぐ機能改善をしがちだが、そうじゃない方法もあることに気づきました」
UIに着目することが、これからのウェブサービスが成長するうえでのカギになると感じたという。しかし、UIを改善するのはそれほど容易ではない。そこが、改善プラットフォームのサービスを始める出発点となった。
前回紹介したグッドパッチは、いわば受託開発型のビジネスだった。個々のクライアント企業のパートナーとなって、時にはコンサルティングをしながら、理想のデザインを共同で開発する。対照的に、KAIZENはいわゆるプラットフォーム型のビジネスだ。UI改善を望むクライアントと、自分のデザイン力で仕事をしたいグロースハッカーを結び付ける。リクナビやSUUMOなどのマッチングモデルに似た、極めて「リクルートらしい」ビジネスといえる。
「ひとりの力は極めて限定的です。そういう点で、ウィキペディアのような集合知の力を信じているところはあります」