元リクルート出世頭が狙う、UIの世界王者 デザインは集合知で改善できるのか?
プロダクト+マーケティング力で世界と戦う
プラットフォームビジネスはグローバル市場を狙いにいける反面、個々のデザイン開発やコンサルティングビジネス以上に、勝ち負けがはっきり出やすい。市場を抑えたトップのサービスは多額の利益を得ることができる一方、2位以下のサービスには利益が転がりにくい構造だからだ。
その点で、KAIZENの競合は少なくない。同様のA/Bテストツールとしては、すでにグーグル出身者によるOptimizelyが先行している。スターバックス・ディズニーなど6000社超の企業が、同社のサービスを使用している。こうした競合に対し、KAIZENはどのように戦っていくのか。
須藤CEOによれば、KAIZENの強みのひとつは、ツール自体の価格と便利さだ。自動でデザインを選ぶシステムだからこそ、サポートのコストを低く抑えられ、結果的にサービス価格を安く抑えられるという。しかし、同社の強みは、決してプロダクトの品質だけではないと強調する。
「結局、UI改善ビジネスというのは、法人向けのビジネスです。だからこそ、最終的にはセールスマーケティング、そしてオペレーションのうまさが重要になってくる。この点は、かなり力を入れています。たとえば、国内であれば、120社近くの顧客企業を分析し、受注の条件を洗いました。その結果、『どういった業界で受注が多いか』『ウェブマーケティングにどれくらいの予算をかけているところが狙い目か』、といった点がわかりました。今では、営業時の受注率は6割以上になっています」
開発と同じくらい、マーケティングにも力を入れていることが、急成長を支える秘密だという。
課題は、拡大する会社の「キャラ」作り
チームのマネジメントに関しては、リクルート時代とかなり違うと話す。リクルートのときは、かなり厳密なマネジメントを徹底していたが、今は多くの部分をテクノロジーに任せる。チャットや開発支援ツールはクラウドで行い、リモート勤務も奨励。社員がやっていることを可視化し、できるだけ情報を共有できるようにしているという。国籍も多様化し、社内の会議はほぼ英語で行われる。
「今のマネジメントには、大企業時代の反省が少なからずあります。会議を報告の時間にしたくない。共有できるものはあらかじめ共有し、つねに前を向いて話し合いたい。そのためのマネジメントシステムには、かなりおカネをかけています」