全力1分の自転車こぎの運動効果が抜群なワケ 45分間軽い運動をするのに匹敵する!

拡大
縮小

2015年に内閣府が行った調査結果を見ると、直近1年間に運動をしなかった人が最も多く掲げている理由は、「仕事(家事・育児を含む)が忙しくて時間がないから(42.6%)」がダントツです。

そこで近年、世界中の医師が注目しているのが、自宅でもできるたった数分ほどの運動で、ダイエット効果と筋トレ効果が同時に得られ、血糖値やコレステロール値、血圧の改善や内臓脂肪と皮下脂肪の減少につながる運動法、「HIIT」なのです。

HIITとは、「高強度(HighIntensity)の負荷のかかる運動と休憩を短い間隔(Interval)で繰り返すトレーニング(Training)」のことで、「有酸素運動」と「無酸素運動」両方の運動効果が得られます。

「初めて聞いた」という方や「名前は聞いたことがあるけれどよく知らない」という方のために、このHIITについて少しご説明しましょう。

今から100年以上前に、すでに、オリンピックに出場するようなトップレベルの長距離選手が「全速力のダッシュを何回か繰り返す」というHIITのようなトレーニングを実践していたという記述が残っています。

ただ、当時は科学的な証拠に基づいて行っていたというよりは、「こうしたトレーニングを続けていると心肺機能が上がる(=持久力がアップする)」と、経験上で気づいて、運動メニューに取り入れていったと思われます。

1970年代あたりから細々とHIITの科学的なメカニズムが研究され続けていましたが、その風向きが大きく変わるきっかけを作ったのは、実はここ日本。1990年代に立命館大学の田畑泉教授が考案したアスリート向けのHIITメニュー「タバタトレーニング」を、スピードスケートで金メダルを取った清水宏保選手が練習に採用していたことで知られるようになり、2000年代からは世界中のアスリートのトレーニングメニューに取り入れられていきました。

そしてここ数年で、HIITは医療現場にも取り入れられるようになりました。一般の人の健康促進や病気予防、血糖値改善、さらには心臓病など大きな病気を患ったあとの心肺機能のリハビリ手段としての効果につながるという科学的なエビデンスが、この2~3年で、文字通り「爆発的に」出てきたことで、「科学的に正しい運動」として世界中の医師から注目されるようになってきたのです。

たった1分のHIITで「45分の軽い運動」と同じ効果

では、実際にHIITで行う運動についてみてみましょう。さまざまな種類がありますが、主なものを挙げてみます。

屋内の場合:高速スクワット、高速バーピー、高速ジャンピングジャックなど
屋外の場合:短距離ダッシュなど
ジムの場合:ランニングマシン、エアロバイク、ローイングエルゴメーター(ボート型)など

これらの組み合わせで、無数の運動メニューを組むことができますが、一例として、ここでは、データをより正確に収集しやすい「エアロバイク」を使ったトレーニングをご紹介しましょう。

次ページたった「1分」の運動でOK
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT