安倍首相が24日、国会で施政方針演説を行った。
「好循環実現国会」と銘打ってアベノミクスの仕上げを目指す姿勢を示すとともに、「教育委員会制度の抜本的改革」「集団的自衛権や集団安全保障への対応の検討」をうたった。衆参での「与党1強」実現後、今年からは持論の「戦後レジームからの脱却」に本格的に取り組む決意と見て間違いない。
「戦後レジームからの脱却」は第1次内閣時代の2007年1月の施政方針演説で宣言した。安倍首相は「憲法を頂点とした行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが、21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明らかです」と説き、憲法改正を唱える(公式サイトより)。
改憲の是非は別にして、現憲法を頂点とした戦後体制に不備・欠陥や時代遅れの部分があるという指摘はそのとおりで、必要に応じて修正、補強、改革、見直しなどを行うべきだろう。
だが、国民主権、平和主義、基本的人権、法の支配、三権分立など、現憲法の基本原則については、改憲論者の安倍首相も改廃を企図しているわけではないと思われる。
ところが、国内体制で「脱戦後レジーム」を目指す安倍首相が、第2次世界大戦後の国際社会の仕組みと枠組み、つまり戦後の世界秩序についても、「脱戦後レジーム」を強く意識し、「脱戦後世界秩序」の野望を抱いているのでは、という疑念が国の外にあるようだ。昨年暮れの靖国神社参拝で、中国と韓国の反発がさらに強くなったが、アメリカも「失望」を表明し、ヨーロッパ諸国にも懐疑的な見方がある。
過去に東京裁判に疑義を呈したこともある安倍首相は、もしかすると、第2次大戦の戦勝国と敗戦国という構図の見直し、新秩序づくりなどを狙っているのでは、という疑いが芽生えているのかもしれない。
もし安倍首相にそんな野望が潜んでいるとすれば、国益にも国民の願いにも沿わない道だろう。野望は皆無というのであれば、内外に向けて明確に疑念を打ち消す必要がある。
(撮影:尾形文繁)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら