9日投票の東の都知事選に加え、橋下大阪市長の辞職による西の出直し市長選で、東西の大型首長選が注目の的だが、安倍首相と公明党の関係も政治の要注意事項だ。
公明党の山口代表は2日、党の会合で「隙間がある。だが、風は吹いていない」と語ったという。
自民党と公明党は小渕内閣から10年間、連立を組み、民主党政権下でともに下野した後、2012年12月に再び連立を組んだ。約15年の連携の積み重ねは大きく、中央でも各選挙区でも「持ちつ持たれつ」の関係という見方が強いが、山口代表は「隙間」と口走る。
隙間の原因は、集団的自衛権の行使制限撤廃への強い意欲、靖国神社参拝、日本維新の会への接近という安倍首相の姿勢と選択で、それに難色を示す公明党という図式だ。
山口代表は昨年1月、訪中して日中関係改善に努力し、靖国問題でも「外交問題を引き起こすから避けたほうがいい」と繰り返し忠告してきたにもかかわらず、安倍首相は昨年12月、警告を無視して参拝した。集団的自衛権問題でも、山口代表は「反対」と言い続けているのに、首相は1月24日の施政方針演説で直接、言及して「対応を検討」と明言した。
その集団的自衛権や憲法の問題で連携を見込む維新を、安倍首相は「責任野党」と持ち上げ、秋波を送る。
一方、公明党は大阪での「維公提携」に終止符を打った。12年の総選挙の際、大阪で維新は公明党に配慮して6小選挙区で候補擁立を見送ったが、公明党は大阪都構想問題で橋下市長に背を向け、1月30日の大阪府市の法定協議会で反対に回った。
衆参「与党1強」を手にした安倍首相は、衆参選挙も自民党総裁選もない「無選挙」の今年、持論の「安倍路線」実現に邁進する気配だが、そうすれば、隙間はさらに拡大し、寒風が吹き始める。
維新やみんなの党の政権参加、連立組み替えの確率は五分五分と見る。風が吹けば桶屋が儲かるとばかり、自公亀裂拡大に期待を寄せる野党勢力は勢いづくだろう。それでも安倍首相が独走を続けると、隙間風が大型台風を呼ぶ展開となる。その可能性は予想以上に大きい。
(撮影:尾形文繁)
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