交通事故は減るか?自動運転がもたらす可能性 生活圏によってクルマは欠かせない移動手段

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例えば、公共交通機関を利用する場合、大都市圏でもその運賃に差が生じている。鉄道運賃の初乗りで最も安いのは、JR西日本。しかし初乗り運賃の2位以下は、JR東日本と私鉄や地下鉄を含め首都圏に集中している。次いで大阪、そして名古屋の順だ。大都市に住んでいても、生活費に及ぼす公共交通機関の負担は、人口密度の違いによって差が生じているのである。

まして人口の少ない地域では運賃が高くなるのは当然で、それでも経営が難しく廃線となるやむをえない事情がある。個人の裁量で移動できるクルマは、公共交通機関の対応がままならない地域では不可欠な移動手段となる。人口の地域差が、移動の経済的負担増や、移動そのものを個人に依存しなければならない事態を招いている。

高齢者の事故による報道で映し出されるクルマは、年式の古い場合が多いように感じる。歳をとるほどに物を大事にする意識も高まり、その背景には、単にもったいないという気持ちだけでなく、暮らしを年金に依存するなど所得の制約もあるはずだ。

2017年から導入されたサポカー制度

一方で、近年の新車は、運転支援機能を装備することにより、報道される事故のいくつかは回避できたのではないかと思わせる性能を備えている。

政府も、2017年から、安全運転サポート車(通称サポカー)の制度を導入し、運転支援機能を備えたクルマの認定を行っている。

運転支援機能の基本となるのは、衝突被害軽減ブレーキで、車載カメラやセンサーにより前方の障害物を発見し、衝突の可能性がある場合には運転者に警告し、それでも回避操作が行われない場合に自動でブレーキを作動させる。この機能を備えたクルマをサポカーと位置づける。

今年4月に発売されたトヨタ自動車の新型RAV4にも、衝突軽減ブレーキが標準装備された(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

さらに追加機能として、歩行者も対象とした衝突被害軽減ブレーキ/ペダル踏み間違い時に加速を抑制する装置/車線逸脱の警報(あるいは車線維持支援装置)/先進ライトを装備するクルマは、サポカーSと位置づける。このサポカーSは、高齢者事故の多くを抑制できる可能性を持つ。

こうした装置は、価格の比較的安い軽自動車にも装備がはじまっており、自動車メーカーによってはすべての車種で標準装化される動きがある。そして国土交通省は、ペダル踏み間違い事故の抑制に向け、国内の乗用車メーカー8社に対し、年式の古いクルマに後付けで急加速を抑制する装置の開発と販売を促してもいる。東京都も、その取り付けに90%の補助を行う意向でいる。

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