交通事故は減るか?自動運転がもたらす可能性 生活圏によってクルマは欠かせない移動手段

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EVはもちろん、日産のハイブリッド車(HV)であるe-Powerは、アクセルペダルだけで発進・加速から減速・停止までできる、ワンペダル運転が可能だ。これが、万一の緊急停止にも役立つ。

ペダルの踏み間違いの事故が多発しているが、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えには約1秒の時間がかかるといわれている。時速20kmほどの低速で走っていても、その1秒間に約5.5m以上先に進んでしまう。なおかつ踏み間違いや踏みそこないをしたら、事故の危険性は高まる。

しかしモーター走行でのワンペダル運転では、アクセルペダルから足を離しただけで回生(かいせい)と呼ばれる強い減速をはじめる。ペダル踏み替えの1秒の間に、ブレーキを踏まなくても速度を落とすことができるのである。それはエンジン車や、エンジンとモーターを走りに併用するHVではできない。

クルマの価値は無限大である

クルマの自動運転化と電動化は、安全と環境保全のための未来技術だと思われている。もちろんそのとおりではある。だが、それらが実現し、普及することにより、われわれがクルマで外出する際に何気なく不安に思っていること、心配していることを減らし、自分の都合にあわせて晴れやかな気分とともに外出できる喜びをもたらしてくれるのである。

これまでクルマは、クルマ好きの健常者のための乗り物だった。しかし、自動運転化と電動化がいっそう進み、廉価に手に入れられるようになれば、まさに老若男女、健常者も障害者も区別のない、万人のための乗り物になっていく。

そう考えると、クルマの価値は無限大であり、これからが本当にクルマを愛用できる時代になっていくのだと思う。そうした未来を思うと、うれしくなる。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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