革命のライオン 佐藤賢一著

革命のライオン 佐藤賢一著

主人公が相変わらず魅力的だ。体格、人相、音声(おんじょう)、行動、思考、みな型破りで、伯爵なのに平民議員のミラボーが獅子奮迅の活躍を見せる本編「小説フランス革命�」は、身分制議会である三部会で平民議員が貴族や僧侶たちを相手に主導権を争い、翻弄(ほんろう)され苦闘する革命前夜劇である。そして畏怖しつつもミラボーに傾倒するのがひよっこ平民議員のロベスピエール。2人の絡み合いが主旋律となって話は展開する。

18世紀末の新聞や文書を渉猟(しょうりょう)することで人物像のひだ、演説のあやに迫ろうとした労作でもある。著者一流の歯切れの良い文章によってルイ王朝末期の時代のうねりが読み手を襲い、弾ける小波さながらの心理描写は微細を極める。

会話も含め細部における瑕疵が少ないことも安心して佐藤ワールドに浸れる一因だろう。革命の火が燃え盛る続編『バスティーユの陥落』ではダントン、マラも加わり、歴史小説の醍醐味が味わえる。(純)

集英社 1575円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 今さら聞けない競馬のキホン
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • ブックス・レビュー
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
好業績の裏で検査不正<br>スズキ「鈴木修経営」の光と影

5月10日の決算会見に登壇し完成検査の不正を詫びたスズキの鈴木修会長。不正は組織的・構造的な問題か、現場への目配り不足によるのか。長年にわたるカリスマ経営の副作用を指摘せざるをえない同社のガバナンス体制を詳解する。