ウーバーが単なる「タクシー代わり」でない理由 遠くからアイデアを借りる「アナロジー思考」

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ここで1つアナロジーのクイズを出しましょう。

「手羽先」と「カニ」の共通点は何でしょうか?一見まったく異なる2つの食べ物に何か「要するに」という特徴としての共通点はないでしょうか?

「手羽先」と「カニ」の共通点を見つけるメリット

ここで着目する共通点は「食べるのに手間がかかって手が汚れる」ことです。箸では細かいところまでは食べきれず、どうしても直接手を使うことになるので、面倒くさいうえに手が汚れるので、無精者やきれい好きの人は敬遠するという点でこの2つは見た目や味はまったく違うにもかかわらず「似ている」ということがいえます。

では、このような共通点を見つけると何のメリットがあるのでしょうか?

例えばここから、手羽先を食べない人と(同じ理由で)カニを食べない人に何らかの相関があるのではないかという仮説が立てられます。さらにはこれらが両方嫌いな人の一定割合は「(骨つきの)焼き魚」や「具が段重ねで入っているハンバーガー」も嫌いではないかという仮説が立てられます。

さらにこの話を「無精者ときれい好き」というキーワードで発展させれば、食べ物とは無関係な「キャッシュレスに移行しやすい人」の特定につなげられるかもしれません。

このような相関の仮説は、ビッグデータの時代の顧客の行動パターンの予測に役立てられる可能性があります。もしかすると、「居酒屋の(手羽先や焼き魚の)購買データからハワイアンレストランの(ハンバーガー割引)キャンペーンのターゲット顧客の特定」ができるかもしれないのです。

データ活用時代にデータ解析を行う「データサイエンティスト」が求められていますが、単なる数値計算だけであればコンピュータ(+AI)のほうが優れています。人間に求められるのは、このような仮説を立てる力といえます。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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