ウーバーが単なる「タクシー代わり」でない理由 遠くからアイデアを借りる「アナロジー思考」

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アイデアを借りてくるというと、そっくり何かのアイデアをコピーしてしまう、いわゆる「パクリ」がありますが、アナロジーはこの「パクリ」とどこが違うのでしょうか?

そのキーワードが「遠くから」です。遠くからとは、「一見しただけではわからないような抽象度の高い共通点」を持ったものから借りてくることを意味します。

「アナロジー」と「パクリ」の違いは真似するものの抽象度の高低にあり、以下のような違いがあります。

アナロジーが「遠くから借りてくる」に対して、パクリは「近くから借りてくる」
アナロジーが「目に見えないもの」であるのに対して、パクリは「目に見えるもの」
アナロジーが「根本的(本質的)」であるのに対して、パクリは「表層的」
アナロジーが「属性レベル」であるのに対して、パクリは「関係・構造レベル」
アナロジーが「一見わからない」のに対して、パクリは「簡単に気づく」
アナロジーが「抽象的」であるのに対して、パクリは「具体的」

抽象度の高い共通点とは…

同じ業界の中や誰が見てもわかる類似の商品のアイデアを借りてきても斬新なアイデアとはなりません。そればかりか下手をすると意匠権や特許権、あるいは商標権の侵害で訴訟の対象になります。

抽象度の高い共通点とは、商品やサービスの売り方や「要するにこういう特徴がある」と表現できるもので、例えば、以下のようなものです。

・顧客ニーズのつかみ方(「少数だが確実に存在するグループをターゲットにする」など)
・流通チャネルの関係性(中間業者をなくすなど)
・製品の特徴(「レトロの性質を復活させる」など)

例えば、「オンライン書店」で始まったアマゾンは、今では靴や服など、従来の常識では通販で売ることは考えられなかったものを含めて「ありとあらゆるもの」を、本を売るのと同じ仕組みを作って販売しています。

これは抽象度の高い「売り方」(中間業者を極力排するとか、購買履歴を使って個別の顧客へのリコメンデーションを次々と発信するとか)のレベルを一見異なる商品につなげていった事例です。

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