年を取っても「眠れる人」と「眠れない人」の差

よい眠りを得るにはどうしたらいいのか

こうした問題の根本にあるのが、ストレスに対する体の反応だ。ストレスの刺激はコルチゾールのように覚醒や不眠の原因となる物質の放出を促す。そして中年になると、健康であってもこうした刺激ホルモンの眠りを妨げるような影響を受けやすくなる。

年配者が不眠に悩むことが多い理由はここにあるのかもしれないと、ペンシルベニア州立大学のアレクサンドロス・ウゴンツァス教授らはカレント・サイカイアトリー・リポーツ誌で説いている。

ウゴンツァスらはまた、不眠に悩む人は例外なく、睡眠中にコルチゾール値が多少なりとも上昇していると指摘する。何時間寝ても体が休まった気がしないとか、体力が十分に回復しないと言う人がこれほど多いのはそのせいかもしれないというのだ。

加齢とともに「体内時計」が変化

しかし年を取れば睡眠障害を起こすのが当たり前というわけではないと、老人病の専門家らは指摘する。必要な睡眠の量は人によって異なる。一人ひとりの高齢者がどのくらい眠りを必要としているかを判断する決まった基準は存在しない。そもそも、必要な睡眠量とは眠れた時間と比して本人がどう感じ、どのくらい機能できているかから決められる。

中でもほとんどすべての高齢者が影響を受ける可能性のある要因が、加齢による睡眠パターンと体内時計の生物学的変化だ。ジョンズ・ホプキンス大学で睡眠を研究しているアダム・スピラらの研究によれば、中年期以降、深い眠りの時間も、夢を見るレム睡眠の時間も自然に減っていく。また、いわゆる「睡眠効率」つまりベッドに入って眠っている時間の割合も、60歳を過ぎると減っていくという。

加齢とともに体内時計がずれていくのは自然なことで、昼間に眠気を感じたり以前より目覚めが早くなったりする。カフェインを摂取したり昼寝をしたりして就寝時間を遅らせることができるかもしれないが、もし入眠に困難が伴ったり朝まで眠れないようなことがあっても驚いてはならない。

「20分の昼寝は多くの人にとって助けになるが、夜よく眠れない人はやらないほうがいいかもしれない」とスピラは言う。

不眠を引き起こす可能性のある要素の多くは容易に治療できるし、加齢に伴い睡眠構造の変化にどう適応するかを学び、睡眠を妨げる行動を見直すことで、完全に取り除ける場合も多い。

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