──(笑)。現場には年にどれほど。
3〜4カ月ですね。北米からアジアへの恐竜の移動をテーマにしているので、アメリカ、カナダ、モンゴルが主体です。
──期間は資金面の制約ですか。
日本で工面できる資金は多くはないですが、海外では共同研究者が調達した公的資金や寄付金がありますから。南米でも、渡航費以外は面倒を見るから掘りに来ないかという話はある。南米、南極、豪州が地続きだったので、南米から豪州への恐竜移動というストーリーが描ける。でも、南半球の夏って日本の冬でしょ。年に6カ月いなかったら大学をクビになります。
「時間のギャップ」に興味があった
──ただ、限られた時間で多くの発見をしているように見えます。
「むかわ竜の全身骨格」のようなわかりやすいものだけが発見ではありません。発掘の現場って刺激的なので、いろんな興味が湧いてきます。化石が出た地層を調べれば当時の植生やほかの動物がわかる。いろんな素材に食らいついて情報を引き出す。そうすることで大きなストーリーができてくると、より広い視野で恐竜を見ることができ、さらに面白くなる。
──何に興味を持ったかが大切そうですね。どんな子供でした?
自分では普通だったと思いますが、親は「変わっていた」と言いますね(笑)。小学生のときは仏像、城、古墳などにのめり込みました。まあ、小学生で仏像は珍しいか。
──生物というより歴史ですね。
文系理系という考えはしません。小さい頃から時間のギャップに興味があったんだと思います。城、仏像、古墳とさかのぼって、次は日本人のルーツ、そして恐竜。数百年を経てきた仏像と現在の自分が向かい合う。自分の経験した時間をはるかに超えた時間を体験してきたものに興味を感じます。
──長期で物を見るので気が長いのでしょうか? むかわ竜は発掘までに2年以上かけていますよね。
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