前回のコラム「米中貿易戦争より大きい日本経済のリスクとは」では、各国中銀の金融緩和などを好感したアメリカ市場の株高は正当化できると述べた。
その後も同国株市場は上昇が続いた。5月末まで下落していた同国株は反転した後、6月末のG20での米中緊張緩和の期待から、7月も株高が続いた。ダウ工業株30種平均などは史上最高値を更新した。昨年12月安値水準からの上昇率は、一時約20%まで達した。
アメリカ株高を支える「3つの要因」
だが、7月以降上昇し続けたアメリカ株市場に対する筆者の判断は、やや慎重方向に傾いている。
最近の同国の株高の要因には(1)FRB(米連邦準備制度理事会)など各国中銀の金融緩和期待の高まり、(2)5月の株安のきっかけとなった米中貿易戦争への懸念後退、(3)同国経済の底堅さと、企業利益の増益基調維持への期待、などが挙げられる。
これらの株高要因は、今後、どう見ればいいのだろうか?まず(1)FRBなどの金融緩和は、今後もアメリカ株高を支えそうだ。例えば7月になって、クリストファー・ウォラー氏、ジュディ・シェルトン氏が、トランプ政権によって新たなFRB理事に指名される見通しとなったが、この人選はFRBのハト派姿勢をさらに強めるだろう。
ウォラー氏は、現在FRBの中で最もハト派のメンバーとみられるセントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁を補佐しているが、ブラード総裁の代わりを果たす役割としてトランプ政権に指名されたと推察される。
また、シェルトン氏は、バラク・オバマ大統領時代に当時のFRBの金融政策を批判したことがあるが、現在はトランプ大統領のアドバイザーを務めている。金融政策について確固たる見識を持っているようには見えないが、トランプ大統領によるFRBの利上げ政策への批判を支持する同氏の発言を踏まえると、理事になれば利下げを後押しする立場を鮮明にするだろう。
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