日本株に期待できないと考えるこれだけの理由 「参院選後の政治も安定」でも割安と言えず

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この人選は、意中の人物をFRB理事に任命し、金融政策に影響を及ぼそうとするトランプ政権の政策と思われる。これについて、FRBの独立性を阻害しかねないなどの批判がありえるかもしれない。

ただ、中央銀行メンバーの人選は、議会承認を含めた民主主義のルールに従う必要があるが、その範囲で政府の意向を反映させることは可能である。また、その機会を利用したのが2013年の安倍政権による日銀執行部の人選で、それ以降日本経済は他国に遅ればせながらも正常化のプロセスが始まった。安倍首相と懇意であるトランプ大統領が、この経緯をよく知っていても、おかしくない。

実際に、FRBへ圧力をかけるトランプ政権の意向が、FRBの金融政策判断にどの程度影響しているか筆者には分からない。

しかしジェローム・パウエル議長率いるFRBメンバーの発言を踏まえると、7月末のFOMCで利下げを始める可能性が高いと筆者は考えている。インフレ率停滞と経済の下ブレリスクに備えるとして、2018年に利上げした政策金利の一部を引き下げる格好で、「保険的な利下げ」を続けるだろう。このため、アメリカなどの金融政策が株高を支える構図は変わらないとみる。

米政府はいずれほぼすべての対中輸入品に関税を課す

一方、(2)米中貿易戦争が株式市場の心理へ与える影響については、正直予想が難しい。6月末に行われたG20会合時に、アメリカによるファーウェイへの禁輸措置が緩和されると表明されたが、これをもって米中の緊張状態が今後和らぐとみるのは、楽観的過ぎるだろう。

2020年の大統領選挙を控え、トランプ政権の対中政策は今後も揺れ動くとみる。なお、米中が交渉で折り合うには至らず、筆者は、いずれ米政府がほぼ全ての対中輸入品に対して関税を課すと予想している。 そして、これまでの関税引き上げによる貿易、企業活動への負の影響は今後顕在化するだろう。

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