会社で「殿、ご乱心」に遭遇したらどうする? 細川護熙氏の都知事選出馬から考える

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「ご乱心」がいい方向に転ぶか、見分けるには

逆にご乱心が悪い意味でのご乱心ではなく、会社の新たな成長機会になることもあります。会社に残って、明るい未来を享受できるかもしれません。ただ、いずれにしてもトップの“ご乱心”が実行されるとしたら、会社が大きな岐路に立っているのは明らかです。ゆえに自分の将来のキャリアも踏まえて、慎重かつ大胆な判断をしたいもの。ご乱心はひとごとでなく、自分にとって重要な決断のタイミングなのです。

さて、こうしたタイミングに遭遇したとき、決断のためにやっておいたほうがいいことは何か? それは、

ご乱心が起きた「背景」を深く考える

ということです。この点を深く、いくつかの観点から考えていくと、ご乱心の結末(勝算)が見えてくる可能性が大きく高まります。まず、細川氏の立候補であれば、脱原発が背景にありますが、具体的な目的は何か(これは、みなさんで考えてください)。同じように会社でトップがご乱心となった背景と目的を考えてください。

できるだけ、トップと同じ視点に立って考えてみましょう。社員の視点では常軌を逸しているとしか思えないかもしれませんが、裏には緻密な対策や、社員レベルには伝えられない事情があるかもしれないからです。先ほどの

背景:なぜ、リクルートが畑違いのダイエーグループの傘下に入るの?

・莫大な借金返済のために保証人的存在の必要性

・事業運営に口出ししないという条件がある

・先方がリクルート社の企業文化に高い関心があった

など、背景を深く考えてみると、実はその決断が成功する可能性もある程度高いと思えてきました。ゆえに当方は会社に残って、仕事を頑張るという決断ができた気がします。ただ、逆に、背景を深く考えた結果、将来に明るい未来が描けないと、辞めた同僚もたくさんいました。そこは個々人によって勝算の立て方の違いがあるのでしょう。

最後に繰り返しになりますが、“ご乱心”に遭遇したときは、自分のキャリアの岐路だと思い、自分のためにその結末を真剣に考えましょう。会社を辞める選択肢も含めて、早急かつ大胆な決断をしてください。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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