第1回 ドイツはスポーツ天国か? それはあまりにも日常的!

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日本のオリジナル文化「体育会系」

筆者の子供はドイツで大きくなり、サッカーや器械体操などを楽しんでいる。そんな話を日本人の知人にすると、面白い返答がかえってきたことがある。「高松さんのところは体育会系ですねえ」。

このやりとりから推し量ると、日本ではスポーツはイコール体育会系と考える人が多いのではないだろうか。もう一歩踏み込むと、体育会系には年功序列に基づく人間関係などがセットになっており、英語にしろドイツ語にしろ翻訳がかなり難しい。日本社会で成り立っている固有の価値観・文化といえるだろう。

ところが今日、この体育会系という文化が崩壊してきているから体罰やいじめが「問題」となっているといえる。

たとえば、中高の部活でサッカーをしていたという50代の日本人男性と話した時のことである。
「体罰は当時ありませんでしたか?」
「いやあ、特にありませんでしたね」
「どつかれることはありましたか?」
「はい、それはもう、ようどつかれました」。

この男性の中にはどつかれたが、体罰ではないという意識があった。これが体育会系の文化的特質、文化としての人間関係ということがいえる。

おそらく「どつく」ことは動機付け、懲罰、統率、集団の秩序形成などの目的で行われてきた一種のマネジメントだったのだろう。もちろん暴力はいけない。ところが何十年か前までは、ごく当たり前の行為で、どつかれることは「暴力」ではなく、へたをすると先生のゲンコツから「愛情」を見出そうした側面すらあったのではないか。

ここにきて、この文化・価値観が成り立たなくなってきた。体育会系の先生や先輩はあいかわらず「どつく」ことを手法だと考えるが、現代社会ではとっくに「どつく」ことは暴力と定義されているのに気が付かなかった。そんな風に見えてくる。

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