元受刑者の2人に1人が再犯者になる厳しい現実 500人超を受け入れた北洋建設社長の夢

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次に、住居の問題です。元受刑者のなかには、周囲の目を気にして、元住んでいた場所に戻りづらいという人は少なくありません。悪い仲間たちがいるから戻りたくないという心情もあります。ですが、家を借りるようなお金がないことは先ほど述べたとおりです。

仮出所者には更生保護、満期出所者には更生緊急保護という、宿泊場所等を一定期間提供することによって社会復帰を助けるための制度がありますが、とくに後者は全員が利用できるわけではなく、決して十分なものではありません。

そのようなお金も住むところもない状態では、早々に生活に行き詰まってしまうでしょう。そうすると、再び犯罪に手を染めやすくなります。三度の食事と雨風をしのげる場所を求めて、あえて微罪を犯して刑務所に戻るケースも多いそうです。つまり、再犯は、このように構造的な問題です。

多くの出所者が仕事を得られない

このとき、仕事があればどうなるでしょうか。稼ぎがあれば、生活の基盤ができて、住む場所も持てるようになります。元受刑者に仕事の機会を与えることは、最高の再犯防止策なのです。

しかし、現実は、多くの元受刑者が仕事を得られません。2017年の出所者数は、2万3068人、そのうち官民の就労支援を受けた人は1~2%にとどまります。その最大の理由は、多くの会社が元受刑者を受け入れることを拒んでいるからです。「本当に真面目に仕事をするのだろうか」「お客様や社員に対してまた悪さをするんじゃないか」。そういったことを懸念するのでしょう。

その結果「出所して3カ月間ハローワークに通っても、2件しか求人がなかった」「半年間、職を探したけれども面接すらしてもらえなかった」。こうした声を当社に来る元受刑者たちから聞く機会は少なくありません。

そうした環境を変えようと、前述のように元受刑者たちを積極的に雇用してきました。ただし、これは、ボランティア活動ではありません。元受刑者は、真面目にやり直したいのに、その機会が得られず、困っている。

そして、やる気があって、真剣に頑張りたいと思っている人が少なくありません。会社はそうしたやる気がある人を必要としているから、積極的に雇っているのです。あとがない人たちが発揮する力は本当にすごいものがあります。もちろん社会的な意義のある活動だと思っていますが、それだけではありません。

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