元受刑者の2人に1人が再犯者になる厳しい現実

500人超を受け入れた北洋建設社長の夢

雇用にあたっては、さまざまな工夫が必要です。まずはお給料。たいていの会社は、お給料は1カ月働いてから払いますが、それだと、その1カ月の間、使えるお金がないため、彼らは生活に困ります。それが犯罪を誘発しかねません。

北洋建設の従業員募集のポスター(画像:北洋建設提供)

そこで、北洋建設では、毎日2000円を給料から前払いしています。1日3食つきの寮があるので、食事以外に2000円を使えるのです。残りのお金は給料日に支払います。使えるお金があることは安心感を生み、それが再犯防止につながっていきます。

このときお金は2000円札で渡しています。2000円札は珍しいから使うとき、顔を覚えられやすい。顔を覚えられると悪いことをしづらくなります。毎日、私が社員たちに2000円札を渡します。直接渡すのは、使うとき、社長の顔を思い出してほしいという思いもあります。

寮もとても大切です。出所したりして、家を借りることができない社員には最初は寮に入ってもらうことにしています。3食つきというのもポイントで、やはりおなかが満たされると、心が穏やかになります。風呂もあり、ゆっくり眠ることのできる場所は、再犯防止にとってすごく重要です。

「過去」をオープンにできる居心地のよさ

同じくらい大切なのが、寮を含めた会社の雰囲気。お金や食事、住むところが保証されても、雰囲気が悪ければ、居づらくなってしまいます。具体的には、元受刑者には「過去」をオープンにするよう徹底してもらっています。こうしていると余計な詮索が起こりません。事実を隠そうとするとウソをつくことになります。すると、ウソにウソを上塗りし、信頼関係をつくることができなくなり、それが退職リスクにつながります。

さらにオープンにすることを前提にして受け入れれば、その人がどういう人かは日々の暮らしぶりや仕事ぶりだけで判断されます。受け入れてもらうには、今を真面目に、真剣に生きさえすればいいわけです。

元受刑者が入社すると、当日か翌日の夜に有志たちで歓迎会を開きます。歓迎会では先輩たちが「実は、俺はな」と話してくれます。そうするとお酒の力も手伝い、自己開示をしやすくなる。その後も、皆で食事をしたり、飲んだりする機会を多くつくって、愚痴や心配事があれば気軽に言えるような関係をつくるようにしています。だから安心感が生まれるのだと思います。

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