元受刑者の2人に1人が再犯者になる厳しい現実

500人超を受け入れた北洋建設社長の夢

実は、日本の元受刑者の更生保護は、こうしたやり方とは真逆のアプローチで行われてきました。犯罪歴を隠すのです。出所者のうち1~2%しか就労支援を受けていないと書きましたが、おそらく残りの98~99%の人は、罪を隠したまま、職探しをしているのだと思います。そして、運よく働き口を見つけたとしても、過去を隠したままでいるのでしょう。

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保護観察所の所長と出所者との交流を描いた、吉村昭さんの『見えない橋』という小説があります。この保護観察所の所長は、出所者であることを周囲に知らせない形で支援を続けます。

こうした罪を隠す「見えない橋の精神」に基づいた支援のあり方は、後日、犯罪歴があることがばれて、会社をクビになるという事態も招きかねませんし、なによりも元受刑者たちに無理とウソを重ねさせることになります。

一方、犯した罪をオープンにして、それを背負いながら真摯に生きれば、1週間もすれば詮索する人はいなくなります。あとは自分の行動だけで判断されます。

よく言われるように、過去は変えられないけれど、未来は変えられるのです。だから、私は受刑者をウソでしばることのない環境で、更生を進めるべきだと考えています。それによって、社会全体の意識も変わっていくと信じています。必要なのは「見える橋の精神」です。

それでも8割の人たちが辞めてしまう

このようにさまざまな工夫をして元受刑者を受け入れても、当社では8割が辞めていくという厳しい現実があります。入社早々に姿を消す人も少なくありません。それでも残りの2割の人が仕事を通じて更生をしていく姿を見るのは、何にも代えがたい幸せです。再犯の防止は、未来の被害者を減らすことにもつながります。

私は難病を患い余命3年と宣告されていますが、残された時間のなかで、少しでも自社の定着率を上げ、同時にこうしたメッセージを伝えることで、出所した人が皆、仕事に就くことができ、それによって更生が進み、再犯者率がゼロになる。そうした社会が実現するよう力を尽くします。

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